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見えていない情報がある 読書記録#31

『結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中手記』, 船戸優里, 2020

私たちは、自分で確かめられない情報は、メディアを通して仕入れる。
そして、その情報が自分の世界の事実となる。
ただそういうもの。すべての情報を自分で確かめるのは、不可能だから。

でも、メディアもビジネスであることとか、与えられた情報がすべてではないこととか忘れがち。だから、人を真っ黒って判断してしまう。

本当は、グレーなのにね。
真っ黒な人なんていないのにね。....実はいるのかな笑 
少なくとも、大半はグレー。


本書は、優愛さんの母・優里さんの心の声が綴られている。優里さんは、虐待死に対する加害者であり、夫からの精神的DVの被害者でもある。この状況下で、どんな気持ちで生きてきたのかが見えた。

本当に娘さんを愛していたんだなあって思った。
頑張ってたんだなあって。
辛かったんだろうなあって。

努力しても、やってもやっても、状況が良くならない。
そんな世界で、それでも生きてきた優里さんの姿が浮かんできた。


私は本書を読んで、法の「外面性」という性質を意識することが必要だと思った。法の外面性とは、法の対象は、外部に現れた事象・行動であり、人の内面には介入しない、という性質。
とても重要な性質だけれど、私たちは、外面と内面の両方を考慮する世界に生きている。だから、外面における情報をもって、内面のすべてを判断してはいけないのだと思う。メディアから仕入れる情報に関しては、「どんな情報が見えていないんだろう?」っていう、情報の余白を意識することが大切だと思う。
これは日常生活にも大いに関わる話で、相手に対する余白を持っておくことで、自分自身を助けることにもなるし、相手を助けることになると思った。



本書が、一人でも多くの人の手に渡りますように。
本書の出版に対する、優里さんの勇気に感謝を。
優里さんのこれからを応援しています☺





 

 

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