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「伝える」と「伝わる」 読書記録#30

『なぜ戦争は伝わりやすく平和は伝わりにくいのか ピース・コミュニケーションという試み』 (光文社新書), 伊藤剛, 2015

伝えてるのに、伝わってない。コミュニケーションってなんだろう。


「伝えると伝わる違い」

著者の伊藤さんは、コミュニケーションの本質は「伝えると伝わる違い」であると述べる。このことについて、伊藤さんは、インフォメーション、プレゼンテーションのそれぞれと、コミュニケーションを比較して説明している。プレゼンテーションとの比較のお話が特に、なるほど~ってなった。

プレゼンテーション
・プレゼンテーションとは、説明という意味であり、内容を論理的に説明すること。

コミュニケーション
・コミュニケーションは、説明の出発点を見定め、相手と自分の前提をすり合わせること

すなわち、

A → B → C → .... → Z


という説明があった時に、プレゼンテーションは、それぞれの「→」が上手く繋がっているかに関わる。対してコミュニケーションが関わるのは、「A」の段階であるという。

この「A」を決めるのは、「その人の総合力」だそう。
私の理解は、それまで生きてきた環境・経験等に影響を受け、形成された唯一無二の個人が、それぞれに違う前提「A」をもっている、という感じ。

さらに著者は、実際の社会では、論理的正しさはひとつではないため、どれだけ論理的正しさを主張し合っても、「伝わらない」事態が発生すると述べる。だから、「伝わる」ために大切なのは、「結論のすり合わせ」ではなく、「前提のすり合わせ」であるそう。

興味深い!


感想

あなたの論理ではそうだよね、納得できる、でも分からない。
って思うときがあった。その理由のひとつを発見した気分。
私は、その人の論理に納得して、その人の前提を知らなかったのだと思う。そして前提を知る、というのは、その人自身を知る、ということなのだろう。どういう風に生きて考えてきて、その出発点に立っているのか。これを知ることは、相手を知ることだと思う。考えてみると、論理のつなぎ方にも、著者のいう「その人の総合力」が現れているよね。

相手と自分との間で「伝わらない」、「伝わってない」と感じたとき、相手の目線に立つ努力をしてみようって思った。100%分かる訳じゃないけれど、心がけって大事だと思うの。




鍵となるのは、想像力。

前提の違いを楽しんで、
いろんな世界をみてみたいなあ。




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