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アンケート小説

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#恋愛

それは甘くて、酸っぱいもの(小説)

 国語の先生に恋をした。めがねをかけてて、猫のように目を細めることのある先生だった。そんな表情を浮かべて、のんびりした口調で授業をするもんだから、裏ではニャー先生と呼ばれていた。

「桜木ー。カギ括弧の部分を読んで」

 ニャー先生が私の後ろの席に座る友人の萌衣(もえ)に授業で声をかけた。
 萌衣は立ち上がり、教科書を持って読み出す。淡々とした口調でつまることなく読み進めるから、段々と眠くなってき

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