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ソニー・ロリンズ『ロリンズ・プレイズ・フォー・バード』

ソニー・ロリンズの編曲家としての一面と叙情的な演奏の魅力を感じられる一枚です。

1956年10月5日に録音
。プレスティッジより発売される。録音メンバーは、リーダーのソニー・ロリンズ(テナーサックス)、ケニー・ドーハム(トランペット)、ウェイド・レグ(ピアノ)、ジョージ・モロー(ベース)、マックス・ローチ(ドラム)、ボブ・ワインストック(プロデューサー)、ルディ・ヴァン・ゲルダー(レコーディングエンジニア)です。

収録曲はレコード基準(PR7533)で3曲。1曲目はロリンズ編曲版メドレー「ザ・バード・メドレー」、2曲目はロリンズ作曲「キッズ・ノウ」、3曲目はスタンダードナンバー「アイヴ・グロウン・アカスタムド・トゥ・ユア・フェイス」です。編曲・作曲・スタンダード曲を含むアルバムで、ソニー・ロリンズの編曲家の一面も伺えます。

1曲目の曲名にある「バート」とはジャズのカテゴリー「ビ・バップ」を創始した中心人物でアルトサックス奏者のチャーリー・パーカーのニックネームです。チャリー・″バード″・パーカーが演奏していた曲をメドレー形式にアレンジしたのが「ザ・バード・メドレー」です。

バードは1920年アメリカのカンザス州カンザスシティに生まれます。この録音の1年半前の1955年3月12日にニューヨークでジャズ・ミュージシャン達のパトロンと呼ばれたパノニカ・ド・コーニグスワーター男爵夫人に看取られて死去しています。

この一曲「ザ・バード・メロディ」

メドレーの中身は、①アイ・リメンバー・ユー、②マイ・メランコリー・ベイビー、③オールド・フォークス、④ゼイ・キャント・テイク・ザット・アウェイ・フロム・ミー、⑤ジャスト・フレンズ、⑥マイ・リトル・スエード・シューズ、⑦スター・アイズの7曲です。

バードの演奏は現在でも聞くとができます。名演と呼ばれる曲は「ナウズ・ザ・タイム」「コ・コ」「ドナ・リー」「コンファメーション」でこれら以外にもたくさん数え上げれます。

不思議なのがロリンズのメドレーの選曲が名演に沿って編曲されていないように見えます。もちろん素人目からですが。とは言え「ジャスト・フレンズ」「マイ・リトル・スエード・シューズ」は選ばれています。

チャーリー・パーカーの死後もたくさんのジャズミュージシャンがバードの演奏した曲を録音しています。

けれどもロリンズが吹き込んだようなメドレー形式はほぼないと思います。また本アルバムのようなジャムセッション風の録音も見当たらない気がします。

「ザ・バード・メドレー」から聞こえてくるチャーリー・パーカー像は止まることなく流麗に美しいメロディを奏で人々を魅了した面に力点を置いています。

ソニー・ロリンズの編曲家としての一面と叙情的な演奏の魅力を感じられる一枚です。

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