フォローしませんか?
シェア
聖職者の矜恃がスンタヌを衝き動かしている。 彼は操作盤の上で、操縦桿らしきものを握り…
騒ぎが起きていた。 大声で何事かを呼ばう声が満ちていた。 干し煉瓦貼りの床を踏み鳴ら…
死地に堕ちている、という。 スンタヌという年端もいかぬ沙門の言だ。 腹立たしくもある…
勝機まで忍ぶのは定石だ。 それは将官の務めである。 闇に兵を伏せ、息を潜め、刃を隠す…
地を揺らして轟く瀑布を眺めていた。 私は壁面にへばりついてそれを見た。 巻き起こる水…
じわりと距離を詰めた。 ばかりか右手を奮って、バドリの首を引き寄せた。 手加減をせね…
昏い斜面を歩いていた。 深く、深く地底を這うような隧道だ。 遠くにパーリ語の叫びが響いている。 私を探索している声か、バドリの無事を哀願する声か。その言葉が耳障りなだけで、私は意味を解さない。 逍遥と首を垂れたバドリに、首縄を自ら繋がせそれを右手で持っていた。片腕となったため、右手には重責がかかっていた。 捕縛した獲物を操る傍ら、己の傷を労わる掌だ。 左手の傷口を撫でるが、乾いた肉があるだけだ。 先刻の死闘の際、左手は素っ気なく外れ落ちた。 治癒しかけた傷か
そこからの回廊は異様であった。 首縄を引きバドリの足を止めた。 岩壁、土壁とは違う平…
首に縄をうたれ、回廊を肩を竦めて渡る。 背後につくのはバドリという雑種身分だ。 左腕…
私は虚空に向けて哄笑した。 呼吸音を潜めている影にだ。 先刻より、その天井裏に潜んで…
見覚えのある女であった。 だがその顔が間延びして、突き出ていた。両目は正面になく、耳…
半裸というには理由がある。 彼の下半身は白馬であった。ちょうど臍のあたりからが、白馬…
ひっと声があがった。 私の牙が介護僧の喉笛を裂いたからだ。 顎が驚くほど開いた。ひと…
幾度その月は満ちて、欠けたことだろう。 石牢の天窓から、月明かりが降ってきている。 牢には鉄格子が掛かっており、その向こうには石段が見えている。 私の肉体は石牢に仰臥したまま、毛ほどの動きもしなかった。 午後も遅くなってから介護の僧が訪れた。 水を含ませた布をしぼって、この口に水を与え、何かの肉を含ませる。排泄もごく僅かだ。同じ僧がその布で尻を拭い去って、それで終わりである。とても肉体を維持できるような量ではないが、不足は感じない。時には布に獣の血を含ませたもので