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北米をバスで旅する 1

 高校生の頃は、米ドルは230円程度だった。
 大学生の時に米ドルが170円程度に円高が進んだ。
 当時に読んだ文庫本で、「レンタカーを借りて北米を横断する」というニッチなHOW TO本を受験勉強の傍らで読み込んでいた。
 晴れて大学生となっての円高で、とうとうその気になってアルバイトを励んだ。友人を誘い合って2人で渡米していく。
 
 アメリカの初上陸はL.A.のダウンタウン。
 後年に知るところではあるが、そこのスクウェアはかなりの危険地帯で、黒人とプエルトリコ人とスパニッシュの縄張りが重なり合っている場所だった。
 夜中の銃声は子守唄のようで、窓には弾痕とひび割れが蜘蛛の巣のように走っていた。
 ベッドに横たわると背中に痛みがあるので、マットレスのシーツを剥ぐとマットレスは十文字に裂かれていて、その隙間からスプリングの尻がはみ出していた。しかも何やら黒っぽい染みがある。血痕であると思われた。
 ダーティハリーで見知ったアメリカがそこにあった。
 

#行った国行ってみたい国

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