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浦和がURAWAになった2007 ~清尾&小齋秀樹 往復書簡

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2005年~2014年にレッズのマッチデー・プログラム(MDP)をはじめ、サッカーライターとして活躍していた小齋秀樹くんと、MDP編集長だった清尾淳が、2007年のACLで浦和レ… もっと読む
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往復書簡⑫小齋→清尾 玉座へ向け、新たなる一歩

清尾さん、こんにちは! 往信にて書かれている通り、隣国とはいえソウルからさらに移動となると結構大変でしたよね。 取材ノートを見返したところ、チームスケジュールはこんな感じでした。 ・9月23日練習終了後、羽田近くのホテルへ ・9月24日09:20発の飛行機でソウルへ ・11:20金浦国際空港到着、荷物をピックアップした後、ソウル市内で昼食 ・14:30 KTX韓国高速鉄道にて太田へ ・15:27 太田着、バスに乗り換えて全州へ ・17:14 滞在予定のホテルに到着 現地入

⑪清尾→小齋「ACL初の韓国、全州。ゴール裏に現れたURAWA」

 小齋くん、こんにちは。  2023/24ACLのレッズ初戦。武漢三鎮戦を見終わって、これを仕上げています。  レッズはこれが8回目のACL出場ですが、中国のクラブとは案外あまり対戦していません。上海申花、広州恒大、北京国安、上海上港、山東泰山の5クラブだけなんです。韓国とは8クラブと顔を合わせているのに比べて少ないですよね。  で、レッズは対中国勢に分が良いと言われているんですが、初対戦の試合は負けが多かったんです。ACLの形式大きく変わった2009年以降の話なので、2

往復書簡⑩小齋→清尾「組織の中の特別な『ふたり』」

清尾さん、こんにちは! 今回はちょっと迂遠な導入をお許しください。 どのような組織でも、その中には馬が合う者同士もいれば、どうにも反りが合わない者同士もいるものです。 「プロサッカーチーム」と言ってもそれは当てはまり、浦和レッズにおいても例外ではありません。 さらに言えば、馬が合う者たちの中には特に「コンビ」と呼ぶのがふさわしいような組み合わせもいました。 2007年当時で言えば、坪井慶介と阿部勇樹、都築龍太と永井雄一郎、そして田中達也と長谷部誠。 ノックアウトステージでの

往復書簡⑨清尾→小齋「準々決勝の相手は全北現代」

 小齋くん、こんにちは。  浦和レッズが2023/24ACLプレーオフを勝ち抜きました。  香港の、しかも国内最強ではないチームに負けるはずはない、と思いながらも、負けるはずがない相手に負けることがあるのがサッカー、そしてその確率が決して低くないのがレッズ、という情けない自覚もありますから、一抹の不安もありました。  早々に2点を取ったものの、ずっと2-0で推移し、時間が経つにつれて、”半抹”ぐらいに減った不安がまた一抹に近づいてきました。事故的にでも1点取られたらその流れで

往復書簡⑧小齋→清尾「勝ち点1の価値」

清尾さん、お疲れさまです! 2007年5月23日(水)、ACLグループステージ最終節・対シドニーFC戦。 キックオフは19:30、入場者数は44,793人。 清尾さんが 「この年のグループステージで最多でした。水曜日にこの人数はすごいと思います。」 と書かれていましたが、「ああ、やっぱりそんなにすごかったのか」というのが最初の感想です。 「やっぱり」と記したのには理由があります。 実は、試合前日の公式練習後の帰途、電車内にてある外国人記者と一緒になりました。彼の顔は練習会場

往復書簡⑦清尾→小齋「平日に4万人が集合して押し上げた」

 小齋くん、こんにちは。  前回から、3か月以上経ってしまいました。まるで船便の往復書簡ですね。もっと遅いか。  我々の往復書簡がどれだけ影響したかはともかく、5月6日、浦和レッズは三度目のACL優勝を果たしました。  正直、今年の決勝を盛り上げるためもあって始めた企画だったので、優勝してしまうと少しモチベーションが下がってしまうかと思ったのですが、優勝して2023-24のACLにプレーオフから出場することになったので、まだまだACLの話題の鮮度は落ちないはずです。我々の話

2007ACL往復書簡特別編・小齋→清尾「ACLだからこそ」

清尾さん、お疲れさまです PCトラブルはバックアップがあったとしても予想以上に原状回復まで日数かかりますからね。お気になさらず。 MDP連載時代の私の締め切り破り回数にくらべたら、今回の件はどうということはないですよ。 さて、本題です。 清尾さんの往信を拝読し、知らないこと・忘れていたことがたくさんあるんだなというのが最初の感想でした。 まずは北澤さんの件。 清尾さんが書かれていた 『決勝のことを取り上げた日本テレビのスポーツ番組で、北澤豪さんが「我らが浦和レッズ…」と

2007ACL往復書簡特別編・清尾→小齋「日本の代表として/レッズの本気度」

 小齋くん、こんにちは、  この往復書簡、今年のACL決勝第1戦までに終了しようと思っていたのですが、どうも難しくなりました。すべて僕の怠慢とPCのトラブルによるものです。すみません。  そうは言っても、歴史の証言として後世に残しておきたいので、時期がどうあろうと完結させたいと思っていますが、4月29日の決勝第1戦を前に「ACLって、ここが面白い」「ここがJリーグと違う」「一度は体験しておいていい」みたいなものをダイジェスト的にやりとりしませんか。  いわば特別編です。どう

往復書簡⑥小齋→清尾 「ホーム&アウェイ」

清尾さん、お疲れさまです。 ステーキのこと、よく覚えてらっしゃいますね(笑)。 あの一件から「インドネシアってこんな国かも?」と極論めいたことを展開することもできなくはないのですが、今回は字数を考慮して早速『本題』に入ることとします。 清尾さんが往信で記されている通り、アウェイでのペルシク・ケディリ戦は 「ホームとアウェイでこれほど違うものなのか」 と痛感させられた出来事でした。 オーストラリア、中国、韓国、そしてグループリーグ後に訪れることとなるイラン。どこへ行っても

往復書簡⑤清尾→小齋「良く言えばおおらか、普通に言えばいいかげん~インドネシア」

 小齋くん、こんにちは。  アウェイの上海申花戦は、いろんな意味で衝撃でした。  衝撃の筆頭は、あのチームに勝てずに引き分けたことですが、その誘因となった山田暢久の警告2回による退場もそうでした。アジアのジャッジの基準がそうなのか、あの審判の個性なのか、日本では考えられなかったと思います。    あとフィールドレベルで普通にタバコを吸っているチームスタッフがいたのにもびっくりしました。しかも見ると、陸上のトラックに吸い殻が落ちていました。小齋くんは、入場のときライターを取り

往復書簡④小齋→清尾「ACLの実感」その2

まずは、本題の試合に入る前に「食」について。 清尾さんが仰る中華料理屋。よく覚えています。交差点の角にあった店ですよね。 前日トレーニングの帰りか、試合当日、キックオフ前の腹ごしらえとして食べたんですかね。私は牛肉の薄切りとネギらしき野菜が載った麺を頼んで、アッサリ味で美味しかった記憶があります。今だったら、たぶんスマホで撮影していてこのラーメンの写真も残ってるんでしょうね。 それと、パクチーは私も苦手だったので自分の椀には入れないように頼んだ気がします。どうやってお願いし

往復書簡④小齋→清尾「ACLの実感」その1

清尾さん、お疲れさまです! レッドアイの件、私は塩もタバスコも入れますから、それを見た清尾さんがゲテモノと思っていたとしても致し方ないかと。 さて本題。 そういえば埼スタでのキックオフは19:30でしたね。 クラブが念入りに下調べをした上で開始時刻を決めた話は覚えています。調査そのものも、その後の決定もどちらも、クラブの本気度が伺える事がらでした。 19時開始の試合よりも大勢のサポーターを飲み込んで迎えた4月11日(水)、埼スタでの上海申花との一戦目。レッズはキックオフ直

往復書簡③ 清尾→小齋「初めての中国で貴重な体験いっぱい」

 小齋くん、こんにちは。  使用していたパソコンが完全に駄目になって、入っていたデータがすべて使えなくなってしまいました。半分くらいは、あちこちの外付けハードディスクにコピーしてあるのですが、すぐに引き出せる環境と、どこにあったか探さなくてはならない状況とでは、車と徒歩ぐらいスピード感が違い、本業を片付けるのに精いっぱいでなかなかこちらが書けませんでした。申し訳ありません。  さて話はこの往復書簡のテーマどおり16年前に飛びます。  小齋くんの手紙にあった「レッドアイ」です

②小齋→清尾その2「海老と赤眼とロブソン・ポンテ」

「レッドアイ」が通じなかったバーを辞した後、浦和からシドニーまで遠征に来ていたサポーターと合流。 今思えば、当時の私はサポーターの方々との距離はなるべく保っておこうと考え、その輪の中へ積極的に入っていくことを避けていた気がします。 自分の書き手としての立ち位置を、できるかぎり「中立」に近い場所に置いておきたいという気持ちがあったからです。 また、毎試合自腹を切ってスタジアムへ来ている彼らと、仕事とはいえタダで観戦している自分が同じような顔はできないという申し訳なさに似た感情も