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あの時の一言 「Life In The Fast Lane」/Eagles

「良かったら、5月のライブでボーカルをやってみない?」

7年前、社会人になって2、3年の頃。
大好きなスピッツの弾き語りができるようになりたくて、ギター教室に通っていた。
そんな中、レッスン終わり突然、先生から言われてびっくり。

「ん?なんで、私…??」

歌は好きだけれど、バンドで歌ったことなんてない。ましてや、洋楽も。英語の発音にも自信がなかった。

これには色々経緯があって、
もともと教室のバンドで演奏する曲はギターがかっこいい「Life in the fast lane」と決まっていたらしい。でも、最後までボーカルだけが決まらなかったそうだ。

最初、申し訳ないけれど断ろうかと思った。
そもそもステージで歌うなんて慣れていないし、ましてやみんなの大切な演奏を台無しにしてしまったら申し訳ない。

その一方で、心の片隅に密かな憧れというか、「やってみたいな」という気持ちも同時にムクムクと湧き上がっていて、考えあぐねていた。

すると、そんな私を見兼ねたのか、先生が一言。

「先のことを色々心配して不安になる前に、
まず行動してから考えてみなよ」


その一言がグッと背中を押してくれて、私は「やってみよう」と決心できた。今思うと、先生は何となく私の気持ちを察してくれていたのかもしれない。

実はボーカルの提案があったのはライブ本番の2週間前で、それからは先生と猛練習を重ねた。
「まあ洋楽なら、1、2番同じ歌詞を歌っても分からないから大丈夫。一緒に少しずつ歌ってみよう!」

仕事の後教室に行って、夢中で練習していて気が付いたら23時なんて日もあった。
体は疲れているはずなのに、あの時とにかく楽しかった。1人でカラオケでも練習して、ドキドキしながら迎えたライブ当日。

バンドの皆に会ったのも、リハーサルも当日が初めてで、今思うと何という無茶をしたんだろう。でも思っていたより落ち着いて歌えて、スッキリ爽快。

皆からも「ナイスボーカル!最後までボーカルだけが決まっていなくて、助かったよ、引き受けてくれてありがとう。」と言われて、心底ホッとした。

「次回は何をやりたい?」と、いつの間にか私もみんなの仲間に入っていて、その日の打ち上げも忘れられない瞬間になった。

その後1年程過ぎた4月1日、先生から一身上の都合でもうすぐ退職してしまうと聞き驚いた。
その日はエイプリルフールだったので、変な冗談かなあと最初思ったけれど、後任の新しい先生も紹介されて「ああ、本当なんだ」と実感した。

帰り道、たくさんたくさんご迷惑をかけ、お世話になった日々を思い出して、思わずグッと熱い気持ちが込み上げてきて涙が溢れた。

やれギターを落としただ、弦替えが分からないと言っては直して頂いたこと。バンド練習のアドバイスに夜遅くまで付き合って下さったこと。合奏団やライブ、打ち上げの思い出。抱え切れない程の感謝で胸がいっぱいになる。

先生には結婚式で一緒に演奏して以来お会いできていないけれど、元気かな。
小さなお子さんとご家族皆で、笑顔の日々を送られていることを心から願っている。

あの時の先生の一言が背中を押してくれたから、今の自分がある。今も教室の皆とご縁が続いていて、バンドを続けている。

そして、残念ながらギター教室で習うという形ではないけれど、アドリブを習い始める最初の1歩も踏み出せた。

これからも、先生からの一言を大切に忘れないでいたいと思う。

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