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【ざっくり】東宝業績推移(過去5年間)

日本の3大映画会社と言えば、東宝、東映、松竹である。
今回は東宝について業績推移分析(トレンド分析)をしてみた。
(松竹の分析はこちら。東映の分析はこちら

【業績推移サマリ】
・過去5年間売上は順調に増加、一方で営業利益は近年、減少傾向
売上は伸びているが、利益率が悪化(主に映画事業、演劇事業)
・利益は映画事業がほとんど(57%カバー)であるものの、近年は苦戦


■会社の特徴

東宝株式会社は、映画・演劇の製作配給・興行や不動産賃貸を行う日本の企業であり、阪急阪神東宝グループである。

それでは過去5年間の業績推移(連結ベース)を見ていきたいと思う。以下は開示されている決算書のデータを参考に作成した。

■会社の業績

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・売上
過去5年の売上は右肩上がりで成長している。2014年度と2018年度は比較すると、400億円売上が増加している。(競合企業の東映は250億円増加、松竹は10億円増加)
・営業利益
2016年度で最高益を記録して、それ以降は過去2年間で減少していることがわかる。2016年については東映、松竹の分析からもわかる通り、映画業界全体が好調であり、業界全体の興行収入は前年度から8.5%増であった。一方で粗利率及び営業利益率は2016年以降は毎年悪化しているのがわかる。

■売上分析
まずは売上について見ていこうと思う。
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売上については順調に過去5年間は成長していることがわかる。

売上の増加要因について調べていきたいと思う。
以下がセグメント別売上(ビジネス事業別売上)になる。

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決算資料によると各セグメントの詳細は以下である。
映画事業:映画の製作・配給・興行、ビデオ・TV番組・CF等の映像の製作販売
演劇事業:演劇の製作、興行、販売、芸能プロダクションの経営
不動産事業:不動産の賃貸、保守管理、道路維持清掃、維持補修工事及び高速道路施設受託運営業務

東宝の売上約2,462億円に対して、映画事業は約1,592億円で全体の65%を占めている。(東映68%、松竹53%)

過去5年で全体売上が上がっているように見えるが、一番規模の大きい映像映画事業は直近で伸び悩んでおり、一方で、演劇事業や不動産事業が過去5年間で安定的に成長しており、全体として売上が増えているように見える。不動産事業が毎年成長しているのは映画会社3社に言えることである。また東宝は帝国劇場も保有しており、演劇事業が順調なことから人気が高まっていることがわかる。

まとめると
・過去5年間の全体売上は増加傾向
・全体の65%を占める映画事業は直近で減少傾向
・演劇や不動産事業は過去5年間で安定に成長

■利益分析
売上に続いて、次はセグメント別利益を見てみる。

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セグメント別利益(調整前)は総務部門等管理部門(全社)の経費が含まれていないため、営業利益と一致しないが、ざっくり各事業のトレンドが把握できる。

図からわかることは、2018年度の利益に関しては映画事業が全体の57%を占めている。東映と同様に利益の大半を映画事業で稼いでいることがわかる。ちなみに不動産事業については東宝は36%で、東映では11%と東映よりも依存度が高いことがわかる。

業績推移を見ると2016年度は好調であったことがわかる。
2016年度は「シン・ゴジラ」が大ヒットを記録、君の名がメガヒットロングラン興行を記録したほか、多数の話題作や定番のアニメーション作品を配給した。
一方で直近の2018年度については「名探偵コナン ゼロの執行人」などがシリーズ最高記録を更新したものの、利益貢献度の高い自社幹事作品が少なかった。また前期に記録的なセールスをあげた「シン・ゴジラ」「君の名は」のパッケージ販売の反動も大きかったようだ。以上の理由から減益となっている。

以下、今回のまとめである。

【業績推移サマリ】
・過去5年間売上は順調に増加、一方で営業利益は近年、減少傾向
全体的に売上は伸びているが、収益率が悪化(主に映画事業、演劇事業)
・利益は映画事業がほとんど(57%カバー)であるものの、近年は苦戦

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