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【これからの日本漫画⇔海外コミック】書店やりたい私の市場研究

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「好きな漫画は読んで終わりではなく人にもススメたい、というかリアル店舗で売って仕事にしたい!」と夢見る中年サラリーマンの、日々の市場リサーチの結果をアップしていきます。 特に外… もっと読む
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【海外マンガ事情】海賊版を倒す為なら無償ボランティアは無理だが討伐義勇軍には入りたい!

外国語好きという特性を活かして、海外の人と「日本のマンガを巡る交流」を続けている私ですが、しばしば、こんなことが起こっています。 私「日本には〇〇という知られざる名作マンガがあるよ。今度、一冊買って、送ってあげようか?」 海外の方「ありがとう!その作品、ネットで調べていたら、私の国の言語に翻訳されていたよ。ダウンロードしたから郵送は不要だよ。これから読んでみるね」 私「そりゃよかった!あの作品があなたの国で翻訳されていたとは知らなかった!どこのサイトで販売していたの?」

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.22~2019.07.28)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/22~7/28分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/22~2019/07/28) 先週、伊藤潤二先生の『うずまき』がなぜかベスト10以内に入っていることへの嬉しいオドロキを表明したばかりですが、今週はそれに続いて第12位に同じ伊藤潤二先生の『ギョ』の英語版が入って

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.15~2019.07.21)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/15~7/21分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/15~2019/07/21) 銃夢(Battle Angel Alita)、ベルセルク、進撃の巨人(Attack on Titan)の強さは相変わらず、ティーンタイタンズの「日本漫画枠」への乱入も相変わらずの傾向

【海外マンガ事情】ドイツ語に翻訳された時、日本マンガのセリフが2倍以上に「増える」怪現象をサイヤ人ナッパさんのセリフで検証

以前に別の記事で、 「日本マンガがドイツ語に翻訳されたとき、なんだかセリフが増やされているような?」 という印象の話をしました。 その後「印象」で済ますのもよくないなと思い、なんとか数値データで証明できないかと試行錯誤してみたところ、このたびうまくいきました! 以下で結果公開します!↓ ドイツ語版『ドラゴンボール』のセリフをデータ化して、定量分析してみた!題材として、ドラコンボールの「ナッパ戦」のところを使いましょう。 ドラゴンボールのナッパ戦といえば、「くそ」と

『聖闘士星矢』海外版で今度はスペイン語の基本会話も勉強しよう!

先日の記事に載せた通り、イタリア語版に続いて、今度はバルセロナから『聖闘士星矢スペイン語版』が届けられました! 日本マンガの海外展開をめぐるnoteを書いている私にとってよい資料であるのみならず、外国語マニアを自認する私としては、生きたスペイン語を読めるのが嬉しい限り! そこで以前にこちらの記事で「聖闘士星矢で学ぶ基本イタリア語」をやったように、今度は「聖闘士星矢で学ぶ基本スペイン語」をやってみましょう! まずは基本!「な、なにぃ?!」と叫ぶときは、como!聖闘士星矢

「聖闘士星矢」のスペイン語版も届きました!第一印象:「やけにデカい」「出版社はまたしてもバルセロナ」

以前に別の記事で、イタリア語版の聖闘士星矢のことを紹介しましたが、今度はスペインから翻訳版が到着しました!さっそく早起きして読み耽っております! 第一印象その1:やけにデカい 梱包を解いて、取り出してみて、まず思ったのは、「あれ?やけに大きい!」ということでした。B5版のハードカバーくらいの寸際で作られています。 上の例でいえば、右から「日本の文庫版」、真ん中が「日本の単行本」、左がスペインの聖闘士星矢です(うちにたまたまあった、「うしおととら」と「蟲師」を比較対象に使

『聖闘士星矢』で外国籍どうしのキャラクターが戦っているとき「実はギリシャ語で会話している」らしい!そのいくつかの証拠!

以前の記事でイタリア語翻訳された『聖闘士星矢』を読みながら、 「でも、聖闘士(セイント)たちはギリシャで修業をしている格闘家たちという設定だから、共通語としてギリシャ語が喋れたり、他にラテン語やイタリア語が喋れても違和感ない」 という私見を述べさせていただきましたが、なんてことでしょう! そのあと、オリジナルの日本語版の『聖闘士星矢』の漫画を読み返していたら、ちゃんと「聖闘士たちはギリシャ語が達者であるらしき描写」が盛り込まれていることにいまさら気づきました! 外国籍

『聖闘士星矢』のイタリア版がついに届きました!・・・しかしイタリア語とキャラとの違和感のなさは一体!?

以前の記事に載せた通り、「聖闘士星矢はラテン圏で強い」のリサーチにかこつけて、イタリア版の『聖闘士星矢』を発注しておりましたが、やっと、届きました! I cavalieri dello zodiaco. Saint Seiya. Perfect edition: 8/Star Comics(Italy) 何をおいても、生きたイタリア語を読めるのは、外国語学習マニアとして嬉しいかぎり! がまんできず、深夜から読みふけっております。 しかし・・・この違和感のなさはいったい

【漫画の海外展開の話のつづき】EU各国でのマンガ市場動向を扱った論文を発見!(※抄訳してみました)

私がEU圏での日本漫画事情について調査をする際、いつも頼りにしているのは、イタリアの社会学者、Marco Pellitteriさん。 The Dragon and The Dazzleという浩瀚な大著を書いた方です。ヨーロッパの学者さんが書いた日本漫画研究書としては決定的な一冊じゃないでしょうか! 昨日の話の続きとして、フランスの漫画事情⇒その他のEU各国の漫画事情と調べているうちに、このPellitteriさんも関わるプロジェクトの一環として、以下のような論文がネット公

【漫画の海外展開の話のつづき】市場規模を度外視するなら「フランスでの日本漫画」事情は希望のニュースかもしれない!

前々回は、経済産業省のデータをもとに、「日本の漫画の海外展開は厳しい」という話をし、 前回は「そもそもドイツの事例を見る限り、日本の漫画を読むという習慣づけはまだまだ難しい」という話をしました。 絶望の話を二回やったあとで、少し希望のある話をしましょう。「フランスの例外」という事象についてです。 「フランスの例外」EU圏でフランスだけは日本漫画に異様に熱心?!「フランスの例外」(French exception)という用語自体、海外サイトで見つけたものですが、「どういう

【漫画の海外展開の話のつづき】経産省の海外コンテンツ産業データを分析していたら少し絶望した⇒ここからなんとか奮起したい

経済産業省「コンテンツの時代研究会」が、昨月末に以下のようなニュースリリースを出しておりました! 2030年のコンテンツの世界市場を体感する経営シミュレーションゲームの設計 ただし、このニュース「シミュレーションゲーム云々」の話そのものは、正直あまり面白くなく(!)、添付されていた世界のコンテンツ市場データがとても有益でした!↓↓↓ 世界のコンテンツ市場と展望に関する調査 これを私なりに分析した結果を、本日は掲載します。 結論を先に述べますと、「日本漫画の海外展開」

『聖闘士星矢』はやがてアメコミに似てくる?メディア展開の今後を予想

日本漫画の海外展開について調べていて、とりあえず、言えそうなこと。 日本とアメリカでは著作権の考え方が違う、これは日本側にやや不利、ということ。 具体的に言いますと、、、 日本のキャラクターは作者のもの、アメリカのキャラクターはみんなのものと、いうことです! これはアメコミに詳しい方ならよくご存知と思いますが、 アメリカには、コミックのキャラクターはそれを考えた人(原案者)だけでなく、それをビジネスとして拡大した組織全体のもの、という考え方があります。 キャラクタ

『聖闘士星矢』世界各国の展開事情を見てみよう!

このたび仕事の縁があり、日本"MANGA"の世界各国での展開事情を調査することになりました。面白かったので、調査の経過をいくつかに分けて、noteで公開していきたいと思います。 今回の調査を始めた背景は、日本のマンガは海外で大人気と報道されているわりに、あんまり貿易額としては貢献していないのではないか、といわれていることについて、 ・それは本当か? ・本当だとしたら何が原因か? を確認したい、というもの。ただしこれはあくまでオフィシャルな理由で、私個人の野望は「私が少年