『聖闘士星矢』で外国籍どうしのキャラクターが戦っているとき「実はギリシャ語で会話している」らしい!そのいくつかの証拠!
以前の記事でイタリア語翻訳された『聖闘士星矢』を読みながら、
「でも、聖闘士(セイント)たちはギリシャで修業をしている格闘家たちという設定だから、共通語としてギリシャ語が喋れたり、他にラテン語やイタリア語が喋れても違和感ない」
という私見を述べさせていただきましたが、なんてことでしょう!
そのあと、オリジナルの日本語版の『聖闘士星矢』の漫画を読み返していたら、ちゃんと「聖闘士たちはギリシャ語が達者であるらしき描写」が盛り込まれていることにいまさら気づきました!
外国籍のキャラクターどうしが戦っているとき、設定上、どうやらギリシャ語で会話している?!
その証拠となりそうなのが、集英社文庫の復刻版、第三巻に出てくる、以下の描写です。
トカゲ座のミスティというキャラクターと、日本人である星矢が、海辺で一騎打ちをするエピソードです。
ここでミスティが、「殺す前に十秒だけ時間をくれてやろう」というようなセリフを言うのですが、そのあとのコマ、
車田正美/聖闘士星矢 第三巻(集英社文庫)
子供の時から何回も読んでいるはずの本なのに、なんでいまさら気づいたのでしょう?
ミスティが10まで数えている吹き出し、よく見るとギリシャ語読みのカタカナがふられている!
ということはこのマンガ、セリフはすべて日本語で書かれた作品でありつつ、設定上、外国籍のキャラクターどうしが会話しているときは実はギリシャ語を喋っていることになっている?!
もうひとつの証拠!序盤のエピソードで星矢は「あの日本人め」と蔑まれている(=他のキャラは日本語を喋っていない?)
それを裏付けるのが、第一巻、序盤のエピソード。
主人公星矢の、ギリシャでの修業時代が描かれているのですが、ここで星矢以外のキャラクターは、
車田正美/聖闘士星矢 第一巻(集英社文庫)
「あの日本人めが」というようなセリフを喋っている。
つまり、みんな日本人じゃない。ギリシャ人が多い他、星矢のように、世界中から修業のために集められたいろんな国籍の人たちがいると推測できる。
この聖闘士たちの世界というのは、野球でいうメジャーリーグ、サッカーでいうセリエAのように、世界中の才能のある人たちが集まって作り上げているコミュニティのようです。
そして、先ほどあげたミスティの事例を見る限り、どうやら、聖闘士として修業をした人は一緒にギリシャ語も叩き込まれていると推測!相撲部屋に放り込まれた外国人力士がカラダで日本語を覚えていくように、聖闘士たちもギリシャ語を覚えることが求められているのかもしれませんね。
ということは、聖闘士星矢のキャラクターたちは、「ギリシャ人でないキャラクターでも、みんなギリシャ語は達者」という推測が成り立つのです!
問題は、この人たちが喋っているギリシャ語が、「どのギリシャ語なのか」という点
ところが、ここにひとつの問題が出てきます。
以前の記事に書いたように、私は少年時代にギリシャに滞在したことがあり、ギリシャ語の数え方も、それなりに知っていました。それがオトナになるまで上述のミスティのセリフを見逃していたことにはひとつ、言い訳がありまして、
ここでのミスティの数の数え方は、私の知っているギリシャ語とちょっと違うのです。
先ほどのコマで、ミスティは4から8までを、
テタラ、ハシテ、エクトス、エフタ、オクト
と数えているのですが、私がアテネで聞いていたギリシャ語では、
テセラ、ペンデ、エクシ、エプタ、オクト
のはずなのです。
ここで「聖闘士はひょっとしたら古代ギリシャ語を喋っているのではないか?」と気づいた方は鋭いですね!たしかに、現代のギリシャ語と、古代のギリシャ語はいろいろな違いがあります。
ですが、それを参照しても同じことで、少なくとも日本語で確認できる「古代ギリシャ語の辞書」を調べるかぎりでは、
テッタレス、ペンテ、ヘクス、ヘプタ、オクト
となります。やっぱり、ミスティの数え方とは違うのです。「それではミスティがここで使っているのはギリシャ語によく似た別の言語なのか?」と思い、ミスティのキャラクター設定を調べると、公式設定では「出身地はフランスである」と書いてある。フランス語を喋っていないことは明白なので、もうなにがなんだか。
まとめ:追跡が難しいが、彼らの共通語が「なんらかのギリシャ語」であることは確実!
ただし、ここでも補足が。
ギリシャ語というのは、とても歴史が長い言語なので、古代~中世~近世~現代と変遷している間に、まったく別の言語にも見えるほどの変化をしてしまっていますし、そもそも今も生きている言語なので、地方による方言や、若者のスラング化なども激しいでしょう。
先のミスティも、複数種類ある「ギリシャ語」のどれかを喋っているのかもしれない(※これはもし、詳しい方がいたら、ぜひ教えていただきたい!)。
ミスティの発言以外にも、聖闘士星矢というマンガの中では、
車田正美/聖闘士星矢 第二巻(集英社文庫)
アンドロメダ瞬がギリシャ語で書かれた暗号を読み解いたり、
車田正美/聖闘士星矢 第六巻(集英社文庫)
十二宮の壁に刻まれたギリシャ語の遺言を主人公たちが普通に読んでいたりするので、どうやら、ギリシャ語が共通語として成立している設定である、というところは、ほとんど確実、とみております!
聖闘士星矢は日本でも人気のマンガ作品ですが、ギリシャという国にゆかりのある人生を送ってきた私としては、こういうきっかけで、多少なりとも「現代ギリシャ」という国にも興味が増してくれればよいな、と思ったこともあり、今回は「聖闘士星矢の中でのギリシャ語」という話題を取り上げさせていただきました!
子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!