マガジンのカバー画像

【これからの日本漫画⇔海外コミック】書店やりたい私の市場研究

67
「好きな漫画は読んで終わりではなく人にもススメたい、というかリアル店舗で売って仕事にしたい!」と夢見る中年サラリーマンの、日々の市場リサーチの結果をアップしていきます。 特に外… もっと読む
運営しているクリエイター

#フランス

フランスの漫画家が描くスターリン時代の歴史コミック!陰惨で重厚でしかし洒脱!

フランスに詳しい方には「いまさら」な話とは承知ですが、 フランス(と隣国ベルギー)には、バンドデシネと呼ばれるコミックの伝統があります。 日本の「マンガ」とも、アメリカの「アメコミ」とも違う伝統と表現方法を持っており、たいへん興味の尽きない題材ですが、残念ながら日本ではなかなか翻訳されない! 日本の「マンガ」が、こんなにもフランスで読まれている時代なのだから、お返しに日本ももっと「バンドデシネ」を輸入してほしい!という想いもあり、私がゴールデンウィークに読んだ以下の作品

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.22~2019.07.28)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/22~7/28分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/22~2019/07/28) 先週、伊藤潤二先生の『うずまき』がなぜかベスト10以内に入っていることへの嬉しいオドロキを表明したばかりですが、今週はそれに続いて第12位に同じ伊藤潤二先生の『ギョ』の英語版が入って

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.15~2019.07.21)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/15~7/21分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/15~2019/07/21) 銃夢(Battle Angel Alita)、ベルセルク、進撃の巨人(Attack on Titan)の強さは相変わらず、ティーンタイタンズの「日本漫画枠」への乱入も相変わらずの傾向

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.08~2019.07.14)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/8~7/14分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/08~2019/07/14) 先週と同じ集計方法で、7日間での売れ筋ランキングをスコア化し、ランキング上位20までを出力しています。 銃夢(Battle Angel Alita)と同率1位に出現したのが、Teen

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.07.01~2019.07.07)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下7/1~7/7分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ20(2019/07/01~2019/07/07) 今回からは、7日間あのランキング推移ではなく、「7日間のランキングの総合スコア」を出して、20位までをリスト出力してみることにしました。 ・日ごとに推移を追っても、上位に動きが少なくて面

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.06.24~2019.06.30)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下6/24~6/30分データの公表と考察を行います!(※データの収集方法はこちらの過去記事を参照ください) ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ10(2019/6/24~2019/6/30) あれ?先週まではヒーローアカデミアの独壇場だった状況が、少し変わっていますね。 今週強かったのは、Battle Angel Alita。『銃夢』がハリウッド映画化された影響で、原作の英

【海外マンガ事情】西欧各国での日本マンガ・ご当地コミックの売れ筋ランキング分析(2019.06.17~2019.06.23)

先週の記事に引き続き、今週分の「海外市場での日本マンガ売れ筋データ」が揃いましたので、以下6/17~6/23分データの公表と考察を行います! ※データの取得方法は先週のこの記事を参照ください。 ■amazon.comでの日本漫画売れ筋トップ10(2019/6/17~2019/6/23) 相変わらずの「ヒーローアカデミア」の強さが目立ちます。 他に目立つ名前としては「進撃の巨人(Attack on Titan)」、「バトル・エンジェル・アリータ(銃夢のハリウッドリメイク

「Q:マンガを通じて歴史を勉強するってアリですか?」-「A:少なくとも私自身は大学入試で歴史漫画の圧倒的な効用を感じました!」(※他メディア活動の事前告知アリ)

前回、前々回と、以下のような記事をアップし、議論を深めてきました。 「『ビジネスコミックのつくり方』講習に参加し、「勉強する為のマンガ」という方向に力強い可能性を感じた話」 「韓国で2000万部売れた『科学漫画サバイバル』シリーズの海外展開に希望を見た話」 その続きとして「歴史をマンガで学ぶってアリなの?」という問題を今回は取り上げたいと思います。結論から述べると、私の経験から、少なくとも自分の人生ではおおいにマンガが役立ってきたと自信をもって言えます! ※あと今回は

なるほど「日本漫画をもっと海外で売らなければ」というテーゼにどこか持っていた違和感の正体はこれか!皆さんのnote記事から学んだこと

こちらのマガジンで、日本マンガ海外展開についてのさまざまな事情や、可能性や、絶望感を語り続けておりますが、 いっぽうで、私が追っているテーマに似ているnote上の記事を読んでいて、開眼するような思いをしてしまいました! その記事を、今回は紹介させていただきたいと思います、2つあります! ひとつめ:リアル書店こそ最強のメディア?!まずひとつめが、こちらの記事です。 こちらの記事では、嶋浩一郎さんの『なぜ本屋に行くとアイデアが生まれるのか』を参照しつつ、「リアルな書店」と

『聖闘士星矢』のイタリア版がついに届きました!・・・しかしイタリア語とキャラとの違和感のなさは一体!?

以前の記事に載せた通り、「聖闘士星矢はラテン圏で強い」のリサーチにかこつけて、イタリア版の『聖闘士星矢』を発注しておりましたが、やっと、届きました! I cavalieri dello zodiaco. Saint Seiya. Perfect edition: 8/Star Comics(Italy) 何をおいても、生きたイタリア語を読めるのは、外国語学習マニアとして嬉しいかぎり! がまんできず、深夜から読みふけっております。 しかし・・・この違和感のなさはいったい

【漫画の海外展開の話のつづき】フランスの専門家が賛美するマンガ家「平田弘史→大友克洋」の矢印から見えるもの

前回取り上げた、フランスの日本マンガ普及者、ドミニク・ヴェレさんの記事。 そのヴェレさんが賛美する日本の漫画家が、平田弘史先生でした。 (※平田弘史『人斬り』/レジェンドコミックシリーズより引用) 意外な名前!?、と最初は思ったのですが、よくよく考えると、フランス側から見たときの日本漫画の良さとはこういうところに期待されているのか、と納得するところもあり!今回はそのお話をまとめてみます。 平田弘史先生とは?有名なところでは「アキラ」の題字を描いた人!私と同世代には、こ

【漫画の海外展開の話のつづき】アスキーの記事「フランスで日本のマンガはなぜ受け入れられているのか」から見えてきた『今やるべきこと』

前回まで経産省レポートやら市場データやらから、「EU圏での日本マンガ」について扱ってきましたが、今回は定性的な話となります。 週刊アスキーが出していた、今回の参考記事はこちらです。 角川アスキーの研究員が、フランスにおける日本マンガ輸入の泰斗、ドミニク・ヴェレ氏に取材をしたものですが、これがとても面白い! 以下、私が拾った概要を掲載しますね。 意外な人物の名前が!ヴェレ氏が敬愛する日本の漫画家は平田弘史先生!さりげなく言及されているのですが、このドミニク・ヴェレ氏が平

【漫画の海外展開の話のつづき】EU各国でのマンガ市場動向を扱った論文を発見!(※抄訳してみました)

私がEU圏での日本漫画事情について調査をする際、いつも頼りにしているのは、イタリアの社会学者、Marco Pellitteriさん。 The Dragon and The Dazzleという浩瀚な大著を書いた方です。ヨーロッパの学者さんが書いた日本漫画研究書としては決定的な一冊じゃないでしょうか! 昨日の話の続きとして、フランスの漫画事情⇒その他のEU各国の漫画事情と調べているうちに、このPellitteriさんも関わるプロジェクトの一環として、以下のような論文がネット公

【漫画の海外展開の話のつづき】市場規模を度外視するなら「フランスでの日本漫画」事情は希望のニュースかもしれない!

前々回は、経済産業省のデータをもとに、「日本の漫画の海外展開は厳しい」という話をし、 前回は「そもそもドイツの事例を見る限り、日本の漫画を読むという習慣づけはまだまだ難しい」という話をしました。 絶望の話を二回やったあとで、少し希望のある話をしましょう。「フランスの例外」という事象についてです。 「フランスの例外」EU圏でフランスだけは日本漫画に異様に熱心?!「フランスの例外」(French exception)という用語自体、海外サイトで見つけたものですが、「どういう