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どうして霊媒師とか心霊鑑定士は怪談で「いつも遅れて」到着するのか?『怪談のシーハナ聞かせてよ。』第48回で考えてみた

もちろん、私もオトナです。理由はわかっております。

つまり、

なぜ、怪談における霊媒師とか心霊鑑定士とかは、すべてが終わった後にやってきて、

「む、あなたに憑いているものは、こういうものですから、こうやったら供養できますよ」と遅まきのアドバイスを言うのか。なぜもっと早く来ないのだ!?

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理由はわかっています。大きくふたつ。

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ひとつは、もし霊媒師が早めに現場にたどり着いてナニカが起こるのを予防してしまったら、そもそもそれは怪談として残らないから

哀しいが、いい仕事をして怪奇現象を「起きる前にふせいでいる」霊媒師は、誰にも評価されないのだ!カフカ的。。。

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もうひとつの理由は記憶バイアスでしょうね。

これは実話怪談というものの大事な側面と思いますが、

口伝してくれる人の記憶の中で、物語が整理されているうちに、起こったことの前後関係が物語としてキレイに再整理され、「バッチリなタイミングで霊媒師がオチをつけてくれた」という記憶で定まってしまうのでしょう。

これは「怪談はウソ」というのとは違うのです

世の中の怪談を集めていていちばん面白いのは、なぜ同じ怪談が、人の記憶の中で時間が経つごとに、あるいは人から人へと伝わるうちに、少しずつ「おもしろい起承転結」の整理された、プロのシナリオライターも真っ青な「よくできた」物語に自己成長していくのか、という、たいへん興味深い話に繋がるのです。

つまり、

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怪談は自己成長する!

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そして、怪談というものもたくさん聴いていると、

「語り手がいろいろ盛っちゃってもうウソになっているな」という怪談と、

これは本人の中で怪談が自己成長して、まさに本人の心の中で『イキイキと生きている怪談』に昇華したケースだな」というケースとが、わかるようになる。ここが面白い。

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などなど、ということを考えながら、

今回も収録怪談ひとつひとつに、寸評をいれていきますね!

今回のゲスト怪談師は、ささきゆうさくさんと、戸神重明さん。以下の五怪談が収録されていました。

カウンター席(上間月貴さん)

「恨むんだったら、前のオーナーのところに出ればいいのに」という現店長のセリフに共感。まったくだよね、、、。

リサイクル地蔵(戸神重明さん)

これはヤバい!これは怖い!これはタダゴトではない!この話を真に受けるなら「悪いお地蔵さん」がいるということになるが、たぶん、それはなにかの間違いと思います。おそらくこの物語の主人公が買ったのは、本当の由緒あるお地蔵さんではなく、何かいわくのある、お地蔵さんに似せた、しかし別の意味の石像だったのでしょう。いずれにせよ、一見縁起の良い仏像やお守りに見えても、リサイクルショップで出所のよくわからないものを買って崇めるのは、あまりよいことではなさそうです。

肝試し(ささきゆうさくさん)

糸柳さんの解説が秀逸でした。きっとお墓で肝試しをやったことそのものが悪かったのではなく、この人がたまたま、縁のある人のお墓(遠い親戚?とか)に当たってしまったのが問題だったのでは、という解説。そしてたしかに、確率的には、「肝試しのつもりで入ったお墓で、知らずに先祖を冒涜してしまった」というのは起こり得る話である。ふざけてそういうところにいくのは、ほんと、やめましょう。

朝の滝壺(戸神重明さん)

とことんよくわからない怪現象。夢遊病か、とも思ったのですが、そうだとすると鍵をかけた人が誰だかが謎として残ってしまう。いったい夜になにがあったのか?というところで、「カメラをセットすれば何かとらえられるのではないか?!」という狩野さんの現代っ子な発想に、ちょっと笑った。

心霊写真(ささきゆうさくさん)

これがまさに、心霊写真鑑定士さんの回答が来るのが「遅いよ!」と突っ込んでしまったハナシw。いまさら「この写真の意味は『ケガに気をつけて』だ!」と言われても。何はともあれ、ケガが治ってよかった!

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今回もゾクゾクッと楽しませていただきました!また次回が楽しみです!

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子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!