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【古代中世言語好きがオススメする歴史漫画(6)】惣領冬実『チェーザレ』の精緻な「中世ヨーロッパ解説」は並の世界史参考書を超えている!

別の記事でも告知させていただいたとおり、「惣領冬実先生の歴史漫画『チェーザレ 破壊の創造者』からチェーザレ・ボルジアの生き方を学ぼう!」というテーマの記事を、以下の漫画メディアに掲載いただきましたました!(こちらのバナーから対象サイトへ飛べます↓)

この『チェーザレ 破壊の創造者』という歴史漫画、古代中世ヨーロッパ好きを標榜している私を完全に虜にした作品なのです!

上記サイトでは語りつくせなかったいくつかの補論を、こちらのnoteで展開させていただきます!

【中世マニアを唸らせるポイント其の壱】時代考証・歴史考証の緻密さが破格!

『チェーザレ 破壊の創造者』の魅力は、ダンテ研究家の原基晶先生が監修としてしっかりついていること。すでに『チェーザレ』の準備として資料を買い込んでいた惣領冬実先生と出会い、「まず世間に出回っている中世イタリアの資料はたいていが役に立ちません」と言い切り、資料選びのやり直しから手伝ったとのこと。単なるアドバイザーの役を超え、もはや惣領冬実先生との二人三脚状態とのことです。

専門の中世イタリア学者がピッタリと漫画家さんによりそっている制作体制というだけでも、『チェーザレ』の時代考証が破格であることがお分かりいただけるのではないでしょうか?

【中世マニアを唸らせるポイント其の弐】単行本第7巻を一読するだけで高校世界史試験の点数がハネ上がる?あまりに細かい西欧史解説でほぼ一巻分!

専門の学者さんを迎えて、惣領冬実先生のみならず編集部も「とことん細部にこだわろう」と気合が入ったのでしょうか。

特に単行本第7巻において、『チェーザレ』の時代になる「前」の、古代ローマ帝国時代から中世ヨーロッパまでを貫く「教皇vs皇帝」の因縁の歴史の解説が入るのですが、ここがめちゃくちゃ細かく、かつ、わかりやすいです!

「カノッサの屈辱」とか、「フランク王国の三分裂」とかいった、高校世界史に太字で出てくる重要事件についても、きわめて緻密に背後のエピソードが語られます。この単行本第7巻を読むだけで高校世界史レベルのテストで点数がハネ上がるんじゃないでしょうか?!

それにしても、単行本1巻分のページを潰して、主人公そっちのけで「歴史の説明」だけの展開になることを許した講談社編集部の決断も凄いと思います、、、。

【中世マニアを唸らせるポイント其の参】ラテン語スペイン語アラビア語の飛び交うマルチリンガル空間がたまらない!

登場人物たちが話す「言語」にもこだわりが見えます。

主人公チェーザレは実はスペインで育った青年なので、当然、同郷の仲間たちと会話しているときはスペイン語になっているし、

怪僧サヴォナローラと論争するときは、どちらもラテン語になります(正確には、サヴォナローラがラテン語でボソッとイヤミを言うと、すかさずチェーザレがラテン語で言い返し、それをもってサヴォナローラが「むむ?この小僧はラテン語ができるのか?あなどれん奴かもしれん?」とうろたえる場面展開)。

その他、チェーザレの書斎の場面では、ラテン語やギリシア語はもちろんアラビア語の本がコレクションされている描写もあり、この時代のヨーロッパ知識人にとってアラビア語圏の書籍がむしろ学問的に貴重と見られていたことが示唆されています。

講談社から出ている「チェーザレ入門書」がめちゃくちゃ有用!

以上、『チェーザレ』が歴史マニアを唸らせる大作であることをお伝えしてきましたが、これほどの大作を読みこなすには読者側にも気合が必要ですよね。

そこで講談社が以下のような「漫画『チェーザレ』を読むための入門書」を出してくれています

背景の時代解説だけでなく、ルネサンス期のワインやファッションについての解説まで実に細かいガイドブック!

漫画本編と合わせて読むと、ルネサンス期のヨーロッパに相当詳しくなれること請け合いです!

嬉しいことに『チェーザレ 破壊の創造者』は(2019年7月現在)まだまだ連載中、これからどれくらいの分量の大河作品に膨れ上がっていくのか、今後がますます楽しみです!

子供の時の私を夜な夜な悩ませてくれた、、、しかし、今は大事な「自分の精神世界の仲間達」となった、夢日記の登場キャラクター達と一緒に、日々、文章の腕、イラストの腕を磨いていきます!ちょっと特異な気質を持ってるらしい私の人生経験が、誰かの人生の励みや参考になれば嬉しいです!