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色んな切り口から見つめる「締切」

小説新潮2月号の「世界は締切でできている」。

たまたまXで流れてきたポストを見て「おっ」と思ったので、次の日に購入した。

「世界は締切でできている」のコピーが響いたのか?(ちょうど関わっている案件の校了が終わったところだった)それとも、年末に買った「〆切手帳」で締切を意識しつつ生活しているからなのか?

いずれにせよ、今の私に「締切」という言葉は結構響くらしい。

にしても『小説新潮』を初めて買った。というか、こうした月刊小説誌なるものを、初めて買った。普段は小説というよりビジネス書や実用書、ノンフィクションを買うことの方が多い。

でも、なんか買いたくなった。


移動中や夜に少しずつ読んで、今は半分くらいまで進んだ。勝手に「月刊小説誌は、連載ものが多いんだろうな」と思っていたのだが、短編小説がたくさん収録されていた。対談やエッセイなどもある。読んでいて全然飽きないし、色んなものを読めて満足感もすごい。


特に印象に残ったのは、作家の対談だった。『隠蔽捜査』シリーズで有名な今野敏さんと、時代小説を書いている上田秀人さんによる対談だ。

タイトルは『締切は守ってなんぼ、書いてなんぼ』。まさにこのお二人だからこそ語られるテーマなのだと思った。

というのも、今野さんは「5日に1回締切が来る感覚」で、上田さんは「毎月15日に書き下ろしを一冊書き上げつつ、月末には連載の原稿を出す」らしい。漫画や物語の中では、作家は「締切を伸ばす人」みたいなイメージだった。(偏見で話してます、ごめんなさい)でもお二人は常に「締切」を守り続けている。

締切との向き合い方は「なるほど」と思うヒントがたくさん散りばめられていたので、興味のある人はぜひ読んでみてほしい。


一方で、こちらも作家の柿村将彦さんの特別エッセイ『酒と、煙草と、幽霊と』もめちゃくちゃにおもしろい。彼は2作目の長編小説の原稿を編集の人に送らず、そうこうして6年が経ったとのこと。

そこで新潮社さんから、こんな提案があったそうだ。

「2週間後の締切に向けて、カンヅメで短編を書き、それをレポートする」

締切を守る大切さについての対談後に、このエッセイが来る構成にシビれた。カンヅメ体験、これから経験することがあるのかは謎だが、一度経験してみたいな、と思ったり思わなかったり。


「締切」をテーマにこれだけの切り口で楽しめるとは。嬉しい出合いだ。ふと目に止まって試しに買ってみたが、絶対に損しない小説誌だった。

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