ズートピアと人種差別問題

ディズニーのズートピア。主人公の相棒、狐のニックが、私の大好きなロビンフッドから変わらず「THE・ディズニーの狐」であり、等身大の人形売ってたら間違いなく10分くらい買おうかどうか悩むにちがいない、とよく分からない感想も持ちましたが、今回はもすこし真面目な話。

この映画、「(アメリカにおける?)人種差別問題に切り込んだ」と言われているが、果たしてどの動物がどの人種のアナロジーなのか、見る人によって全然違うだろうなぁということを考えた。

映画の中で繰り返されるように「肉食獣は強く、草食獣は弱い」という立場をそのまま受け取るのであれば、一番わかりやすいのは「肉食獣=白人、草食獣=有色人種(特に差別されている黒人、イスラム系)」ということでしょう。でも、これはしっくりこない。ぜーんぜんしっくりこない。何故ならば、映画の中で差別されているのは肉食獣だからである。まぁ、それも陰謀あってことで、その前は力のある肉食獣の方が差別していたのでは?と思われるかもしれないけれども、少なくともそういう描写は一切ないんである。実際ズートピア警察の所長は草食獣で、部下にライオンを従えている。マフィアのボスもネズミで、部下が黒豹や白熊なのだ。それに、草食獣の代表としてウサギ(主人公)や羊がフィーチャーされているが、それに比べて肉食獣のエスニックな印象よ・・・ツンドラだったり熱帯雨林だったり。「普通じゃない場所から来た奴ら」という印象が強い。ウサギの村なんてバリバリアメリカの白人多数の田舎そのものだもの。電車で隣に座ったトラを避ける様子も移民(特にイスラム系?)を避ける市民のようだ。

というわけで「肉食獣=有色人種、草食獣=白人」と見た方が、すっきりくるのだが、となるとなかなか面白いのが「草食獣が武器(毒薬)を持って、肉食獣を凶暴にしている」という点。ディズニーがどこまで意図しているのか怪しいものだが、「アメリカが武器を持って中東に出向くから、イスラム系が牙をむく」と読めなくもないのだ。「恐怖による支配?そうだ!」と言い切る羊はさて、誰のことか?

とはいえ、これはあくまでアメリカの中での見方なのだと思う。なんせ西洋社会に毒されて育った私なので、中東の人たちの気持ちは想像しかできないけれども、やっぱり「平和に過ごしているのに、銃を打ち込んでくるから我々が凶暴になるのだ」とみなせるのでは?もしくは逆に「本来肉食獣である白人は表面上は優しいが、ちょっとしたこと(毒薬=暴力)ですぐにその危険な本性を見せる」と考えられるか?

・・・と諸々考えてみたんですが、まぁ、その人その人の中で、自分の立場を好きにキャラクターに投影できるからこそ、ここまでウケたのかもしれません。とりあえず、モフモフは正義。これは人類共通認識ってことで、ひとつよろしく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?