哲学にハマったカエル、「哲学」にハマる その2

「クラウス君、君さぁ・・・君がしようとしているそれは、本当に哲学なの?」

ヨハン君の質問に、クラウス君はキョトンとしました。「哲学だよ、どう考えても。哲学って言えばカントやヘーゲル、弁証法に現象学!違うかい?本屋に並んでいる哲学の本だってみんなそうじゃないか!哲学者の思想を勉強しないと哲学は学べないよ。」

「いやさ、哲学者ってのは哲学する人のことだろ?物理学者が物理を研究する人みたいにさ。ならば、哲学ってのは、哲学者がしていることをしないとダメなんじゃないかい?君が勉強しようとしていることは、物理を勉強したいと言いつつ、物理学者について勉強しているようなものだよ。物理学者は物理じゃない。物理学者が取り組んでいることが物理だよ。ならば、哲学だって同じさ。今までの哲学者が取り組んだことを僕らも取り組む、それが哲学するってことだと僕は思うよ。」ヨハン君は一息で説明しました。

「確かに・・・」素直なクラウス君はヨハン君の意図を理解しました。哲学者の考え方を学ぶことは、「哲学」の勉強であって、哲学そのものではないことに・・・そんなクラウス君を見てヨハン君は安心したように言います。

「だいたい、僕が前に言ったろ?ひとつずつゆっくり考えていけばいいって。いきなり飛びつくと大変なことになるって。哲学者は哲学した末の考えを残してくれた。僕らはそれを考える上で参考にすればいいのさ。『へー、こんな考えがあったんだ』って。そんなもんだよ。カントがどう考えたって覚えても、僕らの考える力そのものは何も変わらない。自分で考えなくっちゃ。彼らの思想は単なるガイドみたいなものさ。」

「でも、僕が一生懸命考えたところで、カントやヘーゲルみたいにちゃんと哲学できるんだろうか?」

「意外とできるもんさ。もちろん、歴史に名を残す哲学者のように、とはいかないかもしれないけれど。でもさ、自分が考えていたことをヘーゲルも言ってて『なーんだ!』みたいなこともきっとあるよ。」

クラウス君はヨハン君の励ましを聞いて、少し元気になってきました。「そうか!わかったよ。僕は僕自身で考えていけばいいんだね!でも、考える僕ってなんなんだ?」

ヨハン君が間髪入れず叫びました。

「それが哲学さ!クラウス君!!」


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