見出し画像

なぜ人は神を信じるのか

なぜ人は神さまを信じるのか。いや神ではなくても、何か自分を超えたもっと大きな力を、時折感じることがある。これは私たちの『心がそのようにデザインされているせいだ』とジャスティ・バレットは述べている。

心理学者バレットは、認知科学から得た豊富な証拠を用いながら、専門的な言葉を使わずに、その理論を説明している。その著書"Why Would Anyone Believe in God?"(なぜ人は神を信じるのか)は、宗教や哲学の本ではない。

もっと細胞レベルの科学的な見地から引出された考え方であるところが興味深い。彼はその著書の中で、『神を信じることは、私たちが持つ心の種類のほとんど必然的な結果であること』と説明している。

心理学者バレットによると、私たちが信じていることのほとんどは、意識下で働いている心の道具から生まれている。そして、私たちが意識的に信じていることの大部分は、こうした無意識の信念によってもたらされている。

科学と物理学の世界には、Hyperactive Agency Detection (行動奇形学論)という非常に興味深い見方がある。

このエージェシーという語句は広告エージェンシーなどと使われる言葉とはまったく別物で、もっと相対的で根本的なパワーを指す(と個人的に考える)。

例えばマクロファージなどの細胞が、まるで自分の意思があるような行動を取って、悪い侵入者をがぶがぶ飲み込みながら免疫機能を果たしていくメカニズムは今も仮説があるだけで、結論づけられて説明されていない。その動き方がうまく予測できないでいるのだ。

ランダムのようでランダムではなく、秩序性があるようで秩序性がない、その動きに不思議なものを感じる。

心理学者バレットによると、このHADD(hypersensitive agency detection device)と呼ばれる人間の脳内または体内に想定 される認知機構は、草の茂みが風に揺れるといったよ うな状況に対して、その背後に存在しない捕食者の存在を想定させる。これは進化の過程において適応的で あった一方で、霊的存在や神をめぐる観念の誕生をも 促進したという。

神々への信仰がこうした細胞に組みきまれたような思い込みと一致することを示し、全知全能の神への信仰はさらによく一致することを示す。バレットはさらに、なぜ宗教的信念のようなものがこれほど広まっているのか、なぜ私たちの心がそれなしで考えることが非常に難しいのかを説明している。

神という大きな存在を信じることが、太古の昔からプログラムされてきた私たちの心と体につながっているということが、面白く思える。邦訳はされていないけれどこの本はAmazonでリストされている。





=======================
以下の3冊を先月出版。
Kindle読み放題サブスクされてる方は無料

 


サポートは株式会社スクーンジャパンおよび米国スクーン社が乳がんのNPO団体(LBBC)に寄付する資金に利用させていただきます。