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プロダクトマネージャの必読書「INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント」でインスパイアされたこと

はじめに

初めまして、私はプロダクトオーナー(以下PO)として働いています。昨年は既存製品を担当し、バックログ≒バグだったため優先順位付けも比較的容易でした。今年からは新製品担当となりましたが、バックログを作成する前の製品発見フェイズを強化する必要が出てきました。

というのも私の組織では、POとプロダクトマネージャ(以下PdM)が分かれており、製品発見フェイズは主にPdMの責務となっているものの、まだ明確なプロダクトマネジメントカルチャと呼べるものが確立されておらず、プロダクトバックログに落とし込めるレベルまで具体化された開発項目は降りてこない状況でした。

この状況を打破するためにPdM側に越境しよう[1]と決意し、まずは、そもそもPdMとは何をする人なのか?という点を調べる事にしました。

Product Management Triangle

PdMを調べてよく出てくるのはProduct Management Triangle[2]です。これについては別の機会に掘り下げてみたいと思いますが、シンプルにはPdMの役割範囲を表した図で、三角形の各頂点にDeveloper、User、Businessが置かれており、その3領域間の空白を埋め、調整するのがPdMの役割と理解しています。通常は2次元ですが、私は下記のような3次元の登山で捉え、最終的にその頂にある”最高のプロダクト”へと導くイメージで捉えています。


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しかし、このような広範囲な領域を一人でカバーできるような人はなかなかおらず、デザイナー及びテックリード、社内外のステークホルダとの共創が必須となります。では、PdMは具体的にどういう心構えや行動で製品を作り上げていくのでしょうか?それを教えてくれたのが「INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント[3]」でした。以降、書籍で学んだ事を書きます。

情熱的であれ

プロダクトマネジャーという役割に必要とされる時間と努力は 、あなたが製品とその役割に個人的な情熱を持っていないならば 、仕事を続けるのが極めて厳しいレベルだ 。

PdMに一番近い役割はCEOと言われるように、そのプロダクトの成功に誰よりもコミットする必要があります。この情熱を周りに伝播させることが重要で、例えば、情熱を持って製品ビジョンを伝えることにより、開発チームを雇われ集団から使命感に燃え、自律的なチームに変えます。

また、ステークホルダーと粘り強く交渉して組織をコンフォートゾーンから押し出し、新たなチャレンジを促します。この時、失敗がつきものですが、PdMは失敗の責任を引き受け、そこからの学びを糧に進んでいく謙虚さと強さも必要です。

問題に恋せよ

この業界で最も重要な教訓の1つは 、ソリューションではなく問題に恋をする 、ということである 。これがなぜそれほど重要なのか?たいてい 、最初に考えたソリューションでは問題を解決できないからである 。

PdMは顧客の専門家として顧客の課題を深く理解し、解決アイデアに対するフィードバックを実際のユーザから早期にもらう必要があります。これは本物の製品を開発する前に行うべきで「製品発見」と呼ばれます。製品発見では、ユーザビリティ向上など細部にこだわらず、本当に顧客の課題を解決しているかを確認することに注力します。

これはアウトプットからアウトカム(ビジネスの成果)志向への転換も意味します。初期の計画通りのアウトプットが出ても、それが顧客の真の課題を解決する保証がないからです。全ての人を一度に喜ばせようとすると、誰も喜ばない結果となるため、市場に優先順位をつけ、特定の市場における顧客ニーズを満たす最小の製品(プロダクトマーケットフィット)毎にリリースします。

俯瞰図

要点を俯瞰図にまとめます。

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- PdMはデザイナー、テックリードと共創する
- PdMは開発チームに情熱を吹込み、顧客の問題解決に使命感を持たせる
- 開発チームは自律的に動き、ビジネス上の成果への説明責任を負う
- PdMは粘り強く働きかけ、組織をコンフォートゾーンから押し出す
- PdMは実際のユーザーでアイデアの妥当性を検証する

おわりに

Inspired本に出会えたおかげで、現在のPOの役割に感じる違和感が明確になりました。プロダクトバックログの質と適切な優先順位は成功のための十分条件ではなく、実際はProduct Management Triangleに表現されているような広範囲をカバー、統合しなければなりません。特に新製品開発においては製品発見フェイズが重要であり、今後さらに深堀りする必要を感じます。ユーザリサーチやUXなどについても学び、実践していきたいと思います。

参考図書、リンク

[1] カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで, 市谷 聡啓 (著), 新井 剛 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/B078HZKLMB/

[2] Product Management Triangle, Daniel Schmidt
https://medium.com/@danielfschmidt/introducing-the-product-management-triangle-4a5b9b02532c

[3] INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント, マーティ・ケーガン (著), 佐藤真治 (著), 関満徳 (著), 神月謙一 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0814STTHV/

2020年7月7日追記:よりシンプルに書き直しました。



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