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Vol.19『年間ベスト映画』を振り返る(2018年~2022年)。

前回に引き続き、私の年間ベスト映画を振り返ります。
今回は2018年~2022年です。

2018年『カメラを止めるな!』

「とある廃墟で撮影中のホラー映画のクルーたち。完全に手詰まりの様相を呈していたため 一旦休憩に入ったものの、それは怪奇現象の幕開けだった…」
二転三転する巧みな展開が評判を呼ぶという、いわゆる『カメ止めブーム』を2018年に巻き起こした話題作。
※当初は小規模公開だった為、東京から前評判だけ伝わってくる中、ようやく「イオンシネマ京都桂川」で観たあの日。…あんなに観客全体のリアクションを湧き上がる様に感じたのは初めてでした。
作品が素晴らしいのはもちろんですが、そんな劇場体験を味わえた事も加えて、この年のベスト認定!?しました。

2019年『スパイダーマン:スパイダーバース』

「13歳の少年 マイルス・モラレスは、ある日 特殊なクモに噛まれた事により、ヒーローになり得る特殊能力が芽生えるが、そんな折 マイルスの目の前でスパイダーマンことピーター・パーカーが命を落としてしまう。
その後、失意のマイルスの目の前に現れたのは、別の次元から現れたスパイダーマンこと中年の姿のピーター・パーカーだった…」
マーベルコミックの人気作品「スパイダーマン」の新たなアニメーション映画化作品。本作の高評価を受けて2023年には続編の『スパイダーマン:アクロス・ザ - スパイダーバース』が劇場公開された。
※映像表現の極致と呼べるほどの圧倒的なビジュアルセンス。それに加えて、軽やかなコメディタッチも交えつつ、燃えるような情熱と爽快感を覚えるヒーロー誕生譚。

2020年『ジョジョ・ラビット』

第二次世界大戦末期のドイツ、10歳の少年 ヨハネス・"ジョジョ"・ベッツラーの親友といえる存在はヨーキーだけ。あとは母親であるロージーと、イマジナリーフレンドの「アドルフ・ヒトラー」が心の支えだった。
そんなある日、家の中にユダヤ人の少女が匿われていることに気づく…
※序盤の「 ” サマーキャンプの描写 ” の様に見せて、実は ” ヒトラーユーゲントのキャンプ ” 」等々の どぎついギャグ演出もさることながら、特筆すべきシーンは、終盤 繰り広げられる市街戦。ジョジョの視界360度すべてで繰り広げられる幻想的で、それでいて地獄の様な現実は劇伴(音楽)の異化効果も相まって圧巻でした。

2021年『返校 言葉が消えた日』

同名ホラーゲームの映画化作品。
独裁政権下の1962年の台湾を舞台に、廃墟と化した高校の教室で目覚めた女子高生のファン・レイシンが、失った記憶と、事の真相を探っていくダーク・ミステリー。
※ホラーとして始まる物語ですが、いつしか二人のキャラクターそれぞれの「初恋」に嘆息していました。
そして目頭が熱くなるエピローグ…心に沁みました。

2022年『ちょっと思い出しただけ』

「元ダンサーで現在は照明技師の照生(てるお)とタクシー運転手の葉(よう)の6年間に渡る恋愛模様」を、7月26日の1日のみにフォーカスを当てて遡ってみせる趣向の作品。
※前情報をほとんど得ずに観たので、話運びがトリッキーな事もあり、とても能動的に観た記憶があります。
各キャラクターの心の機微が繊細に描かれているのはもちろん、ささやかな仕掛けがあちこちにあるので、どのシーンも味わい深く、今でもたまに「ちょっと思い出して」しまう作品です。
 

…さて、いかがでしたでしょうか?
ちなみに補足で言うと、年間ベストからは漏れましたが、「わが心の1本」枠は、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(注1)だったりします。

そういえば、以前「好きな映画を聞くと、その人の ” 人となり ” が分かる」なんて聞いたこともありますが、私はどんな人なんですかね?

では、今週の締めの吃音短歌(注2)は…

言いよどみ 朽ちた言葉が 山となり いつしかそれが 私になった

【注釈】

注1)映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

押見修造による同名コミックの実写映画化作品。
” スムーズな発話ができない、高校一年生の大島志乃 ” と、同級生で ” 音楽好きにもかかわらず音痴な岡崎加代 ” の出会いと交流を描いた青春映画。
※なお、『「 ” 症状を持つゆえの特有の問題 ” と捉えてほしくない」という原作者の意向』により、大島志乃の発話障害について「吃音」(もしくは「どもり」)と呼ばれたり、指摘されるセリフは無い。

注2)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}(注3)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

注3)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。



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