見出し画像

Vol.21 私のシネマランキング2023。

2023年12月28日現在、私が今年に入って以降、劇場鑑賞した映画は113本。
その中からリバイバル上映作品の10本を抜いた103本から「年間ベスト10本」を選んでみました{ちなみに1位以外の順位は、結構あいまいです(笑)}。
よろしければご覧くださいませ♪

10位『バビロン』

無声映画時代からトーキー映画時代突入にかけての映画の都 ” ハリウッド ” を舞台にした群像劇。
※「時代考証に関する指摘」や、終盤の「無理やり展開」等々のマイナス点はあれど、最終盤の映画館のシークエンスは圧巻でした!


9位『ハント』

フィクショナルな設定も交えた1980年代の韓国を舞台に、二重スパイの洗い出しに奔走する、諜報組織の二人の男を主人公にしたポリティカルサスペンス。
※「誰が二重スパイなのか?」が分かる過程もさることながら、すべてが判明した後で訪れるクライマックス。そして、エンドクレジット直後の音演出がスリリングで味わい深かったです。


8位『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの長年にわたる性暴力および性的虐待事件を記事にした、ニューヨークタイムズ紙の記者の姿を描く。
※全編通して、とてもスリリングな内容でしたが、その中でも印象深いのがインタビューをするために、記者が ” ある一般家庭 ” に訪問するシーン。
「告発という行為が(過去を封印して築いた)安寧な生活を破壊するかもしれない」と気づき、動揺する記者の姿は、観ているこちらまでもが心苦しくなりました。
※ちなみに今作品は賞レースからは黙殺されてしまいましたが、それに異を唱えたい意味も込めて(私ごときのランキングではありますが)入れさせて頂きました。


7位『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

1920年代のオクラホマ州を舞台に、石油の採掘権を得た先住民オーセージ族の利権を狙う白人の暗躍を、その中で揺れ動く白人男性アーネストの視点で描く。
※なかなか長尺の作品(上映時間206分)でしたが、印象に残る場面も多く、(お尻の痛さ以外は)長さを感じさせない作品でした。
そして、なんといっても善人にも悪党にも成りきれないアーネストを演じたレオナルド・ディカプリオと、老獪な計算高さをたたえたロバート・デニーロが圧巻でした。


6位『aftersun/アフターサン』

今から20年前、11歳の少女だったソフィがバカンス中に撮影したビデオテープ。記憶の断片と共に浮かび上がる、30歳だった父親の姿とは…。
※特に大きな出来事は起きないものの、時おり不穏に垣間見える ” 心の闇 ” や ” 死の影 ” 。観終わった後、心の隅に残り続けるタイプの作品です。


5位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』

突然の訪問者の攻撃によって、深いダメージを負ってしまったロケット・ラクーン。彼を助けるために奔走するガーディアンズの一行だったが、それはロケット・ラクーンの誕生秘話が明らかになる幕開けだった。
※SF冒険活劇シリーズの3作目にして最終作。
正直、前作(2作目)は1作目と比較すると乗れない点があったのですが、今回は文句なしの快作。
新たなキャラクターはどれも魅力的だったし、お話の着地も文句なしの大団円!


4位『アンダーカレント』

銭湯を切り盛りする ” かなえ ” の元から姿を消した夫、雇ってほしいと現れた堀という男、そして、時おり蘇る断片的な記憶。それらが静かに、時には激しく響きつつ、流れていく ” かなえ ” の日常を描く。
※とにかく染み渡る様な作品で、それでいて時にはドキッとさせられる素晴らしい作品でした。そして、観る人によって解釈が分かれる着地、お見事の一言です。
(そんな中、「カラオケボックスのシーン」の妙なコミカルさ加減も忘れ難いです。)


3位『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』

すっかりスパイダーマンと高校生としての二重生活が板についてきたマイルス・モラレス。そんな彼に恨みを持つ、次元を行き来できるヴィラン ” スポット ” とのバトルと、並行世界のスパイダーウーマンことグウェン・ステイシーとの再会。それは、マルチバースを巡る新たな闘いの始まりだった。
※ビジュアル・内容共に、圧倒的な完成度を誇った前作を受けての続編で、観る前は「前作よりクオリティが落ちていたら…」と、不安もあったのですが、冒頭シークエンスの段階でそんな不安は消し飛んでしまいました。
ちなみに「次作に続く…」で終わっているので、次作が待ち遠しいです。


2位『Pearl パール』

1918年のテキサス州を舞台に、田舎町、伝染病の流行、戦地から戻ってこない夫、厳格な母親、父親の介護…それらに圧迫感を覚える若き女性パールが、暴走に至るまでの顛末を描く。
※『前作「X」の前日譚』という位置づけですが、今作品単体で十分 堪能できる、味わいを持った1本でした。
特に「たたえた笑みが変化するラストショット」は圧巻の一言です。


1位『ザ・ホエール』

余命いくばくもない重度な肥満症の男、チャーリーに訪れる、宣教師、友人、娘…それらの会話から浮かび上がる、チャーリーの心の旅路を静かに描く。
※予告編から、「単純な親子の和解モノ」と予想して観たのですが、更に奥が深く、心に響く作品でした。
何より チャーリーの、人としての尊厳が結実した様なラストは息をのみました。

…という訳で
1位『ザ・ホエール』
2位『Pearl パール』
3位『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
4位『アンダーカレント』
5位『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME3』
6位『aftersun/アフターサン』
7位『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
8位『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』
9位『ハント』
10位『バビロン』
以上が「私のシネマランキング2023」でした。

では、今年最後の「締めの吃音短歌(注1)」を…

折られた 気持ちの 羽根とか集めて お布団にしたら 眠れそうです


【注釈】

注1)吃音短歌

筆者のハンディキャップでもある、吃音{きつおん}(注2)を題材にして詠んだ短歌。
この中では『「吃音」「どもり」の単語は使用しない』という自分ルールを適用中。

注2)吃音(きつおん)

かつては「吃り(どもり)」とも呼ばれた発話障害の一種。症状としては連発、伸発、難発があり、日本国内では人口の1%程度が吃音とのこと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?