【2023年note創作大賞応募作品〜いいね♡応援7/24まで!お願いします〜】忘れられた打ち上げ花火:第1話
群青色のキャンバスに
筆を一振りすれば
彩どりあざやかに
発光するインクが
リズムよく飛び散り
心に重く打ち込まれ
恋模様を描き出す
夏の夜だけに
かけられた魔法
あなたを待つ
わたしの纏う浴衣は
紺地だったかしら
それとも
白地だったかしら
***
>> 花火大会? あんまり行ったことない
<< ねぇ、冗談でしょう?
恋をしたら
イコールで結ばれても
おかしくないと思っていた
「花火大会」
好きな人と
それはもちろん
好きと通じ合う前の人とでも
人混みの中
はぐれないようにと
汗ばむ手を握りしめて
慣れない下駄に足重く
軽く引っ張られる形で
新鮮な心臓の鼓動を感じながら
きらめく屋台道を進んでいく
数えきれないくらいの
恋の場面が浮かんでくるというのに
今わたしの隣に座って
打ち上げ花火を見上げるあなたは
本当の打ち上げ花火の恋を知らない
わたしの住む地域は
他県からでも多くの人が訪れるほど
有名で大きな花火大会が
毎年七月の終わりに
行われていた
それがここ数年連続して
中止になっている
”若者” といったら
また怒られちゃうかしら
そうね
20代も前半くらいまでの方たちが
打ち上げ花火の恋を知らないのは
もう当然のことなのかもしれない
>> 今さ、エモい曲聴いてる
<< エモい、って
ちょっと顔を赤らめて
キーボードを打つ手を止める
エロい? キモい?
どういう意味で
それはいったいどんな曲なのよ
>> まさか、エモいわからない?w
<< エロ、キモい?
>> うぁ、ゆりさんやばいwww
楽しそうにはしゃぐあなた
<< じゃぁ、どういう意味の曲なのよ
きゃっきゃと動き回っていた
群青色のメッシュが入った
青年の姿をしたアバターが
ぴたっと動きを止めた
>> んー、良い感じの曲だよw
つたない語彙力に
ついついリアルの顔が緩んでしまうの
今、あなたがチャット会話で
嬉しい気持ち 楽しい気持ちを表すときに
多用している「w」って
もとは ”わたしたち” が
使っていたものなのよ
そう言ってやりたくなる
遠い昔
禿げた勇者に「w」の意味を
教えてもらった日を
今でも鮮明に思い出せる
いまだに仮想世界で
「w」が普通に使われているなんて
時代が、
世代が、
大きく変わろうとも
変わらずに愛されるものは残るんだって
教えてもらった
「誰かに恋する気持ち」も
時代を、
世代を、
大きく越えようとも
変わらずに生まれてくるものだって
気づかせてもらった
本当の打ち上げ花火の恋を知らないあなたと
本当の打ち上げ花火の恋を知っているわたしが
お揃いで紺地の甚平と紺地の浴衣を纏って
仮の打ち上げ花火を揃い見上げている
現実からかけ離れた過ぎた
現実を再現した恋は
わたしの心に
一生忘れることのない
”エモーショナル” な想いを
刻んでいったの
***(1090)
第2話:https://note.com/sea_lily/n/nc1a71fe912b9 (1380)
第3話:https://note.com/sea_lily/n/ndbb370000d31 (1360)
第4話:https://editor.note.com/notes/nc02677e0c45c/edit/ (1390)
第5話:https://editor.note.com/notes/nd299e2ed5f66/edit/ (1275)
第6話:https://note.com/sea_lily/n/n5102fc67c5d0 (1325)
第7話:https://note.com/sea_lily/n/nf471a38e601e (1705)
第8話:https://note.com/sea_lily/n/n084e923dfa20 (930)
第9話:https://editor.note.com/notes/nba7f61f78816/edit/ (1140)
第10話:https://note.com/sea_lily/n/n4413ae49ccc7 (960)
第11話:https://editor.note.com/notes/n13566904d3a5/edit/ (1215)
第12話:https://note.com/sea_lily/n/n7a5ca52693a1 (940)
第13話:https://note.com/sea_lily/n/nb6b4d594da39 (1440)
(全約16000字)
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恋し続けるために顔晴ることの一つがnote。誰しも恋が出来なくなることなんてないのだから。恋しようとしなくなることがわたしにとっての最大の恐怖。いつも 支えていただき、ありがとうございます♪