見出し画像

「もう幸せにはなれません」-心歌-

もう幸せにはなれませんと
筆ペンで記されたみたいだ
全てかけて幸せから逃げたわけじゃないのに
      「たまゆら」 indigo la End  藍楽詞集より


静まり返ったコンサートホールに
澄みわたる切なげな声音

そっと零れ落ちたしずくが波紋を描いていくように
鈍い痛みとなって心に広がっていく

「もう、幸せにはなれません」



その痛みは涙となって
気づかないうちに頬を伝って
手の甲にしたり落ちた

負わなければならない罪を
しょいこんで
跛行をひいて歩く

わたしは
もう幸せには「なりません」


***


幸せを追い続ける人生が
どれだけ過酷で惨たらしいことか

心に負けてしまったの



幸せって「なに」かしら


人を愛することかしら
誰かと結婚することかしら
おお金持ちになることかしら
子どもを産み育てることかしら
仕事や活動で評価されることかしら
自由で充実した時間を過ごすことかしら
多くの人々から愛し信頼されることかしら




実はどれも
大した価値のないことだ


幸せは

見るものじゃない
追うものじゃない
探すものじゃない
感じるものでもない


それに気づけた分だけ
背負う荷物は軽くなる


この世に存在しないものを
探し求めようとすることほど

残酷な道はない

勇者にだってできないわ



わたしは
世間で思う「人」としての幸せを
全て手に入れた


そう、もうわたし
幸せなの


それなのに
どうしてもはめることの出来ない
ラスト1ピース

満たされることのない
渇ききってしまった心


手あたり次第に貪り食って
空腹を満たそうと
バケモノになる

いったい何が足りないのか
なぜ生かされているのか

考えれば考えるほど
笑みがこぼれるの



次は
あなたの思うその幸せを

食べさせてほしい


「もう幸せにはなれません」

~END


>>> こちらの作品は、お一人お一人に向けた心の手紙です。心歌として吐き出しています。



この記事が参加している募集

自己紹介

思い出の曲

恋し続けるために顔晴ることの一つがnote。誰しも恋が出来なくなることなんてないのだから。恋しようとしなくなることがわたしにとっての最大の恐怖。いつも 支えていただき、ありがとうございます♪