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スピッツベルゲン島とスピッツの”遺伝子”

北極海に浮かぶスピッツベルゲン島。
日経の記事を読んで、ノルウェー領のこの島が重要な役割を果たしていることを知った。

その記事が伝えていたのは、スピッツベルゲン島が、さながら”現代版ノアの箱舟”と化しているということだった。
「スバーバル世界種子貯蔵庫」があり、気候変動や核戦争に備えて世界中の種子を厳重に保管しているという。具体的な数でいうと、これまでに6000種以上、約126万点の種が集められてきたらしい。人類にとって大切な膨大な遺伝子情報がここで守られているということになるだろう。

島の名前を見てパッと浮かんだのが、スピッツのことだった。
オフィシャルファンクラブの名前は「Spitzbergen」で、同名の島から取られていることをどこかで耳にしたことがあったからだ。(言語学を学んでいたので、言葉の由来とかについてはつい興味を惹かれる。)

話は変わるが、私は関ジャニ∞が担当する音楽番組「関ジャム」をよく観る。第一線で活躍するアーティストたちが、自分の推しについて語ったり、音楽的な要素についてマニアックに話し合っているところが好きで、新しい発見と出会えることも多い。

あるときの放送がスピッツ特集で、大ファンだという川谷絵音さんが草野マサムネさんが書く歌詞への愛を爆発させていた。そのなかで、こういった趣旨の発言をしていた。

歌詞中の丸いものは”死”で、とが ったものは”性”を表していると思っている

「関ジャム」2019.10.13放送

実際にこれには裏付けがあるようで、草野さんは雑誌のインタビューでこう語っているらしい。

俺が歌を作る時のテーマって“セックスと死”なんだと思うんですよ

現代ビジネス「人気バンド・スピッツが表現してきた『エロスとノスタルジア』の正体」
伏見 俊 (2021.12.29)
https://gendai.media/articles/-/90918

「”性”をテーマに置くスピッツが、”生殖”を守る機能を持つ島をたまたまファンクラブ名に選んでいるなんて、すごい偶然だな」と思った。

スピッツを嫌いだという人に出会ったことがない。シンプルで廃れないメロディーは万人に愛されていて、スピッツが自らの音楽的ルーツであることを公言するアーティストも珍しくない。

先ほど登場してもらった川谷さんはもちろんそうであるし、私が好きな「The Songbards」や「ハンブレッダーズ」、「Subway Daydream」といったバンドも、もれなくスピッツを原点の一つとして持っている。
こうした例は個人的セレクトなのでどうしても偏りが発生してしまうが、一音楽好きが少し考えただけでも複数挙がるということは、影響を受けたアーティストの裾野はかなり広そうだと感じる。

スピッツが今の日本の音楽シーンの重要な遺伝子となっていることはかなりの人に同意してもらえるような気がしている。

人々の食糧となる遺伝子をつなぐスピッツベルゲン島と、人々の生活となる音楽の遺伝子をつなぐスピッツ。
そして、これは余談になるけれど、”スピッツベルゲン島”そのものは「尖った山」という意味を持つオランダ語から来ているらしい。

こうした単なる偶然のなかに、どこか運命的なものを感じてしまう。
ここ最近は、「愛のことば-2014mix-」をよく聞いています。