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インド人と仕事をするときに(その4)


魅力(?)その4:結婚・恋愛観

日本人と比べたときに、インド人の結婚観はとても保守的です。

日本では、結婚は当人同士のもの。恋愛結婚が一般的で、見合い結婚は存在はするけども、その場合も基本的には出会うきっかけにすぎない。

インドでは、結婚はお互いの両親・家族同士の相性(言語、宗教、習慣、経済面等)がとても大事。だから見合い結婚が主流です。

以前インド人の同僚と食事をしたときに、結婚のきっかけを順番に聞いてみたことがありますが、恋愛結婚は10人のうち2人、つまり見合い結婚が8割でした。恋愛結婚した二人は「おっ、恋愛結婚、勇気あるね。ヒューヒュー」とみんなから冷やかしにあっていました。

私は個人的には、見合い結婚が多い背景は、インドの社会の複雑さが大きな要因になっていると考えています。

国土が広いインドは、公用語だけで22の言語が使われており、さらにそれ以外に30の言語があるそうです。

宗教も主要なものだけでヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教、シーク教、ジャイナ教など多様。

食習慣にいたっては(ほかの記事に書きましたが)、国民の30-40%はベジタリアンで、そのなかでも魚オーケーの人、卵オーケーの人、乳製品オーケーの人、それら一切だめな人。あるいは、常にベジタリアンの人、決まった曜日(たとえば月・水・金)のみベジタリアンの人など、本当に複雑。

そしてインドでは大家族が存在(都会では核家族がトレンドではあるが)。結婚はお互いの家族に祝福されることがとても重要であって、日本のように、職場や友人関係の延長だけで、両方の家族が納得するような諸条件の相手を探すのは、非常に難しいのだろうと想像します。

では、見合い結婚ばかりなんて、ロマンスがなくてつまらない社会と思うかもしれません。しかし見合い結婚の離婚率は恋愛結婚よりもずっと低いそうです(日本でも見合い結婚の離婚率は10%に対し、恋愛結婚の場合は40%とのこと)。
NHKの白熱教室で有名になったシーナ・アイエンガー教授の著書「選択の科学」にもありましたが、選択肢は多ければいいというものではない。結婚相手が、親や家族から祝福されると最初から分かっているケースであるなら、見合い結婚は確かに余計な心配が少ないといえますね。

ムンバイの本社に行く途中の交差点で渋滞。まさにカオス。

というわけで、見合い結婚が主流のインドですが、マッチメーキング(結婚相手紹介)ビジネスが幅を利かせています。ネットフリックスで放映されているテレビシリーズ「今ドキ! インド婚活事情(Indian Matchmaking) 」https://www.youtube.com/watch?v=aZS2KbLAy5Y
においては、インド国内はもちろんのこと、アメリカなどインド国外に住むインド人に対しても、世界中どこでも頼まれれば条件に合う相手を探すスーパー・マッチメーカーが紹介されています。

この番組は面白いのでぜひご覧いただければと思いますが、人間とは欲深いもので、「相手に求める条件は」と聞かれたときに「背が高く、お金持ちで、、スポーツ好き、芸術を愛し、ユーモアのセンスがあって・・・」と言いたい放題になるシーンが展開されていて、このあたりは万国共通だなと、笑ってしまいます。

一方、我々日本人にとって多数派の恋愛結婚ですが、よくよく考えると「自由に選べる」といっても、限られた人的ネットワークの中で相手を選択するわけで、条件ありきで相手を探すわけはありませんね。

いったん相手に好意を抱く段階になって、「あ、この人はお金持ちでないからやめておこう」といった理由で後戻りをするのは難しいでしょうし、さりとて結婚し家庭を築く段階では、これらのライフスタイルの問題は大きな影響があるわけで、そういう意味では、見合いで最初からある条件がわかっている場合は、後々のストレスは少ない、そういうところはあるのかもしれません。


ジャイプールの要塞。このあたりは、とてもエキゾチックな地域です。






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