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【ゴーオンジャー】第45~46話

GP-45「初夢キカク!?」

 サブタイトルで分かる通り、楽しい楽しい初夢企画回である。まさか新曲が2曲も出るとは思わないじゃん?

 ウイングスの御招待で温泉旅館へ新年会に出かけるゴーオン一行。炎神たちは今日は別行動だ。というのも、炎神たちは炎神たちで、年に一度だけ開かれるという特殊な空間「リフレッシュホール」へ日ごろの疲れをいやしに行ったからだ。オーバーホールと引っかけてあるのだろうが、元の姿でのんびりできるというのはやはり彼らにとっても楽ちんな時間らしい。トリプターとジェットラスがハの字お目々になっていて大変かわいいですね!
 各々が相棒との戦いの歴史を振り返るが、トリプターが大翔たちを「より強く、より優しく、より楽しく」なったと評するのがほっこり。クールな兄妹が次第に人間味を得て、当初の印象とはだいぶ変わってしまったが、それを「ギャグに走った」「お笑いになった」などと冷笑するのではなく「楽しくなった」と喜んでくれる相棒でよかったなあと思う。

 さて、晴れ着の一行がギンジロー号で向かったのは、熱海にある大きなホテルである。セレブ御用達っぽいひなびた温泉宿ではなく、みんなでワイワイ楽しめる宴会場付きの宿を選んだ大翔と美羽の心意気がニクい。その分お料理はたいそう豪華で、一人一人のお膳の他に、中央に巨大な船盛まで用意され、いくつもの生け花がその周りを華々しく飾り立てている。張り切って口出しする美羽が目に浮かぶようである。
 案の定、お膳の立派な海老を取った取らないで大騒ぎする走輔と軍平(お名前メタネタ)……しかし、どうやら犯人は別にいるようだ。早輝の髪留めをすっと持ち去ってこちらの様子をうかがっているのは、大翔ら曰く、この旅館に昔から住み着いている座敷わらしらしい。
 時代が変わり、人が変わり、座敷わらしを見ることが出来る人間はめっきり少なくなってしまった。歌が好きだというわらしのため、一同は急遽コンサートを開催することに。いよっ、待ってました! 「歌と言えば」で指名されたのは、自ら立候補しようとした大翔……ではなく、もちろんG3プリンセス。お衣装はギンジロー号に積んであったのかしら。たまたま温泉に入りに来ていたケガレシアも飛び入り参加し、オンステージの開幕である。かわいいぞ!

 ところでなぜケガレシアが温泉に来ていたのかというと、それはもちろん温泉らしく、体と心の疲れをいやすためである。たとえ綺麗すぎる水であっても、温泉のパワーは人間のみならず機械生命体の乙女にも有効らしい。
 ひとりでゆっくり汗を流したくなるほど、今日のケガレシアはとっても頑張ったのである。さらなる侵略のスピードアップのため、またキタネイダスとふたりのヘルガイユ宮殿が寂しいので、彼女がどこからか取り出したるは『初めての黒魔術 あなたにも出来る! 3分で死者をよみがえらせる方法』なる怪しげな書籍。ソフトカバーかつ裏表紙には二段のバーコード、ISBNコードらしきものの表記もしっかりついている辺りが胡散臭い。一般流通してる本なんだ……。
 ともあれ本の指示通りに大鍋をかき混ぜ、魔法の水を入れて「ヨゴシュタインのかっこいいところ」を思い出そうとする二人。だが記憶というのは芋づる式によみがえるもので、ヨゴシュタインや蛮機獣のかっこいいシーンには、大抵その後のかっこ悪い爆散シーン(つまりゴーオンジャー側のかっこいいシーン)がくっついてくるのであった。当然復活の儀式は失敗、鍋は爆発。煤で顔を真っ黒にしたケガレシアは、温泉にひとときの癒しを求めた……という寸法である。
 ひとり取り残されてヤケオイルに走るキタネイダス。そこに降ってきたのは、爆発の衝撃でどこからか落ちてきたゴミ箱だ。掃治大臣キレイズキーのウエポンの一つであった、ムゲンゴミバコである。正面のランプが怪しく光るが、キタネイダスがそれに気付いた様子はない。

 閑話休題、G3プリンセスは見事復活公演をやり遂げる。これで座敷わらしも満足しただろうと思いきや、歌を聞いたわらしはどうにも不満顔。どうやら、バラエティ豊かな年齢層がお気に召さなかった御様子である。なんでや! ケガレシア様かわいいやろが!
 怒り爆発の乙女をあわてて旅館の外に運び出すも、時すでに遅し。頭を沸騰させたケガレシアは、うっかり巨大化して地団太を踏んでいる。
 これはいかんとゴローダーGTを探すも、浴衣に着替えた時にどこかへ置いてきてしまったらしい。ゴロちゃんのトーコンソウルは人工ソウルだからリフレッシュホールへは行かなかったのか……。絶体絶命のピンチを迎えたその時、ケガレシアの背後に聳え立つ偉大なる影。お待たせしました、疲れも取れて元気満々のエンジンオーG12、たった今現着である。
 ティラインのアッパー一発で、ケガレシアはあっさりお星さまに。ヨゴ様復活如何をやった直後なので少しドキッとするも、ギャグアニメ的な退場なので平気平気! おそらく来週には何事もなかったかのように復活するであろう。

 宴会場に戻った一行が見たのは、正座してじっとステージを見つめている座敷わらしの姿である。歌を催促する無言アピール。しかしG3プリンセスはお気に召さず、走輔たちが頑張ろうにも持ち歌など無いのでどうにもならない……かと思いきや。
「あるよ、曲なら」
 にやりと笑う大翔。あるのか、曲!
 かくしてG5プリンスがここに爆誕。デビュー曲は大翔の作詞作曲「君とギュッと♪」、調べたらマジで大翔というか徳山さんが作られていたので笑ってしまった。それにしても大翔、ロムビアコ回で見せたギターのソロ曲から今回のがっつりアイドル曲まで、作曲の振れ幅大きすぎである。流石才能の塊。
 G5プリンスのステージに大満足の座敷わらしは、翌朝チェックアウトした走輔たちの前に可愛らしい晴れ着姿で現れる。早輝に髪留めを返し、「ごめんね」と「ありがとう」を笑顔で告げるわらし。いたずらはしたけれど寂しかっただけで、やっぱり根はいい子なのだな。幸運をもたらす座敷わらしを笑顔にすることが出来て、新年早々幸先の良いスタートである。夢オチじゃなくてよかった。

 そしてED、まさかの新曲2曲目「G5プリンスラップ〜BONバイエ★Limited〜」!  プリンセスがラップするならプリンスもラップしなきゃ! ついでにボンちゃんも歌唱に参加する心憎い取り計らい。仲間だもの、そりゃ一緒に歌ってほしいに決まっているのであった。ありがとう偉い人。


GP-46「家出ボンパー」

 大切なことは言ってみなくちゃ始まらない回。

 ガイアーク反応を検知し損ねたことを注意され、泣きながらギンジロー号を飛び出すボンパー。
「ほんとは、僕なんかいないほうがいいって思ってるんでしょ」
「どうせ僕はポンコツで、何の役にも立たないもん!」
 一度ミスしただけにしては過剰な反応である。きっかけとなったのは連と走輔の会話を漏れ聞いたことによる勘違いだが(二人はギンジロー号を修理する相談をしていたのだ)、ボンパーがそこまで思い詰めてしまったのは、小さな気持ちのしこりがたくさん積み重なってしまったからだ。
 自分を探しに来てくれた連と早輝に、ボンパーはやっと自分の気持ちを吐露する。
「僕、炎神みたいにみんなの相棒でもないし、失敗ばっかだし、もうみんなと一緒には――」
 走輔・連・早輝の三人とゴーオンジャーを始めた時から、ボンパーはずっとみんなと一緒にいた。ジャンボエールが作り上げたナビゲーションロボ。戦いの場に出てくることはないけれど、索敵と後方支援でゴーオンジャーをアシストする。それがボンパーの役目だ。
 唯一無二の相棒とタッグを組み、身体ごと敵にぶつかっていく炎神たちに、もしかしたら彼は引け目を感じていたのだろうか。同じく人工の存在であるゴローダーGT=トーコンソウルは、どことなくユーモラスかつやる気満々に戦場へ飛び出していく。炎神たちはゴローダーの身体を狩りて、相棒と共闘することも出来る。だが、ボンパーはいつもお留守番だ。
 それでも自らの仕事をきちんと果たせば、ボンパーがそこにいる意味は確かにある。ガイアークの出現を適宜察知し、戦況をモニターしながら必要に応じてキャストの転送などのサポートを行う。一生懸命に務めるボンパーの心に、連と走輔の「うまく働かない」「使えないポンコツ」という言葉が突き刺さる。……大翔と美羽の勘の鋭さは、ともするとボンパーのお株を奪うものである。家出したボンパーを追わずに走輔らは大翔と美羽のもとへ向かったが、確かにウイングスと一緒にいれば、ボンパーの索敵センサーは無くても構わないのだ。さらにウイングスの傍にはボンパーの制作者たるジャンボエールもいる。ウイングスが運用している自動キャスト転送システムだって、やろうと思えばギンジロー号にも導入できるかもしれない。
 無人のギンジロー号で皆の帰りを待つ寂しさと、連たちの言葉を受けていくら探しても自らの故障箇所が見つからない焦り。そういった色んな感情が爆発したのが、この家出騒動なのだ。

「そのうち帰ってくるだろう」と知らんぷりを決め込む走輔と軍平、ちょびっとだけ心配ではあるものの軍平に引きずられていく範人。三人はウイングスとともに出撃するが、その攻撃は精彩を欠く。走輔がとうとう自分で認めた通り、「ボンパーのことが気になって、いまいち調子が出なかった」「ボンパーがいることが、当たり前のことになってた」からだ。
 その当たり前に、みんながどれだけ救われてきたか。連と早輝は思い出話をしながら、ボンパーに帰宅を促す。誰もボンパーがいない方がいいなんて思っていないこと。走輔が声を荒げたのは、ボンパーの自分を卑下するような言い方が、まるで仲間だと思われていないようでショックだったからであること。そして、初めての出撃がうまくいかなかった早輝が、ボンパーの思いやりにどんなに救われたか。
「早輝のゴーフォン、かわいくしてみたよ! ボンボン!」
 早輝のつけていたストラップが、ボンパーからのプレゼントだったとは。直接的な慰めよりも、ずっと形に残るやり方で早輝をスマイルにしたボンパー。ストラップはその後も早輝を元気づけ続ける、大切な宝物になった。

 みんなを大切に思う気持ちは、もちろんボンパーも同じだ。だからこそ自分の力不足を憂い、みんなのもとを飛び出したのだ。
「だから僕、ほんとはみんなに言いたかったんだ。一緒にいてくれてありがとうって。僕、直らないかもしれないから。最後にみんなにちゃんと――」
 今にもまた泣き出しそうなボンパーの台詞を、連が「大丈夫」と遮る。ボンパーの両肩を掴んで、その大きな瞳にしっかり目線を合わせて、チーム随一のメカニックはまっすぐに宣言する。
「俺が絶対直す。これからも、ずーっと一緒だ」
「だから帰ろ、ボンちゃん」
 差し出された二人の手を、ボンパーのアームがぎゅっと掴む。その時、ボンパーのセンサーはガイアーク反応をキャッチする。

 今回の蛮機獣はダンベルバンキ。激しく運動することで濃い二酸化炭素を吐き出し、大気を汚すナイスガイなのだが、惜しむらくはその両腕である。取り付けられたダンベルがあまりにも重たく、一人で持ち上げることが出来ないのだ。そのため、ダンベルバンキの出場には必ずサポートメンバーが必要になる。腕に取り付けたアンテナを通じ、リモコンでその挙動を制御するのだ。
 厳しい特訓の末その座についていたウガッツR&Lだが、彼らは置手紙を残してヘルガイユ宮殿を去ってしまう。どうやら待遇面に大きな不満があるらしい。ぼんやりと座り込む彼らにぶつかったのは、同じくぼんやりと走っていた、家出中のボンパーだ。
 同じ家出仲間としてどこかしら共鳴するところがあったのか、二人と一台は一つのベンチで黄昏る。
「僕、言いたいこと、ちゃんと言えばよかったなあ。言わないと何も伝わらないよね、ボンボン」
 そんなボンパーのつぶやきに、我が意を得たりと立ち上がるウガッツR&L。意気揚々とヘルガイユ宮殿に戻った二人が上司であるキタネイダスに突き付けたのは、「おねがい」と書かれた要望書である。そう、メーデーにはまだだいぶ早いが、言わないと何も伝わらないのだ。待遇改善・賃上げ要求! ……なお、彼らの要求には「南の島のリゾート」なんてものも含まれているらしい。特殊技能持ちの希望とあらば背に腹は代えられず、どうやらキタネイダスが自分のお小遣いで全ての要求を呑むつもりのようだ。ガイアークでもやはり手に職がものをいうのか。そして害気大臣ともなればお小遣いで南の島のリゾートを賄えるのか。作戦行動のための人件費と言い張ることも出来るだろうに、国家予算から出さないのがなんというか律儀。
 ともあれR&Lは無事戦線へ復帰。ダンベルバンキの腕を操り、さっそくビルをなぎ倒しにかかる。マンタンガンなど何のその、痛くもかゆくもない様子だ。ゴーオンジャーもウイングスも地面に倒れ、絶体絶命のピンチである。
 連と早輝にくっついて現場へやってきたボンパー。物陰からハラハラ戦いを見守るが、そのセンサーが何かの電波をキャッチする。くるくるとお耳を回して解析した結果、それがダンベルバンキの腕を動かすリモコンの電波だと気づくボンパー。電波の届く範囲と届かない範囲があるために、ウガッツR&Lは常にダンベルバンキの近くにいないといけないのだ。
 それがダンベルバンキの唯一の弱点である、と見切ったボンパー。レッドのマンタンガンをするすると奪い、倒れる皆の前に立ちふさがる。迫りくるダンベルバンキ。マンタンガンがダンベルバンキに聞かないのは、散々ほかの皆が実証済みだ。
 だが、ボンパーは一歩も引かない。
「僕は、みんなと一緒に居たいから。みんなは、僕の大切な仲間だから、僕がみんなを守るんだ!」
「ゴーオン!」の掛け声とともに、マンタンガンから銃弾が発射される。ダンベルバンキの真横をすり抜けるようにして、一発はウガッツR、もう一発はウガッツLの額を寸分たがわず打ち抜く精密射撃! 自分に敵の注意を引き付け、ダンベルバンキを撃つと見せかけて、ウガッツたちを油断させてからの攻撃だ。ダンベルバンキには効かないマンタンガンも、ウガッツには当然効果抜群である。
 突然両腕の制御を失い、困惑するダンベルバンキ。こうなれば後はこっちの独壇場だ。お返しとばかりにフルバージョンの名乗りを決めて(もちろんボンパーも一緒だ)、余裕のトドメ! 最後のあがき・産業革命で巨大化するダンベルバンキだが、ゴローダーGTとセイクウオーが速やかにフィニッシュ。それにしてもゴロちゃんは人型になったりタイヤ型になったり、フットワークが軽くて大変よろしい。巨大戦だというのにスピード感のあるパンチや回し蹴り! ダンベルバンキを拘束してセイクウオーの必殺技を誘導し、着弾の瞬間素早く離れる身のこなし! たまらん。

「俺たちがお前のこと、ポンコツだなんて言うわけねーだろ」
 戦いの後、ギンジロー号にて。走輔の言葉ですっかり疑念は晴れ、いつもどおりのボンパーである。故障の疑いもなくなり一安心だ。心を持つロボットならではの、「心配事で頭がいっぱいであったがために機能がうまく働かなかった」という事例。もしかして、マシンワールドで作られたロボはみんな心を持つのだろうか? それなら少し興味深い。
 ヘルガイユ宮殿では、ムゲンゴミバコから謎の偉丈夫が姿を現す。死者蘇生には失敗したが、ここにきて大ボス登場の予感。

 余談。前回・今回とゼミナールはVシネ「ゴーオンジャーVSゲキレンジャー」の宣伝中。ヒョウのぬいぐるみを高く掲げる早輝、尻尾の根元をむんずとつかんで非常にワイルド。ゲキレンジャーに勝つ気満々で大変よろしい。

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