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最強ポーカーサークルを目指す 活動記録#1 (2024年2月29日)

はじめまして!北大ポーカーサークルSecondNuts代表のいっぺー(X: @IPPEI_JOKERS) と申します。このサークルのことをもっといろんな人に知っていただきたく、活動記録という形で議論になったハンドや得られた知見などについて共有したいと思います。


昨日の活動はヘッドホンポーカーという、プレイ中にアクションの意図を説明するという企画をしていました。

ヘッドホンポーカーはアクション中の思考をすべて垂れ流してくれるので、ほかのプレイヤーがどのような意思決定のプロセスを経ているのか、そしてそこから導かれる「よくあるリーク」について考察することができます。

フロップのCB戦略で"ハンドをプレイ"している

BTNvsBB 2bp K84ttのBTN側の均衡戦略

例えばこれはBTNvsBBにおいてK84ttが落ちたときのBTN側の均衡CB戦略ですが、このシチュエーションにおけるメンバーの発言には以下のようなものがよく見受けられました。

Aくん「いま僕のハンドはK5sで、ここは8や4にバリューをとっていきたい。ブラフはフラッシュドローなどを使おうと思う」

この発言からAくんがどのようなCB戦略を用いているかを考察すると「フロップからbet rangeをEQ linearに構成している。つまり、EQが高い順にbetしてしまっている」と考えられます。
AくんのCB戦略はおそらくこんな感じでしょうか。

AくんのBTN CB戦略

右下のEQ Bucketsを見ると、EQが75以上のハンドをpureにbetしていることが分かります。一見バリューもブラフも入っているバランスが取れた戦略に見える人もいるかもしれませんが、それは誤りです。

仮にブラフコンボがバリューコンボに対して適切な割合で入っていると仮定しても、それはCBを打ったnodeの話です。今回はEQが高いハンドを一切checkにいれていないので、Flopでcheckをした瞬間にBB側に強烈に咎められることになります。

Turnでラグが落ちた場合のBB側のProbe戦略

EQ chartを見ると、BTN側のトップレンジすらもブラフキャッチャーにしかなっていないことがわかります。BB側はこのトップレンジを虐めるAKQ GameをするためにPolar rangeで2e sizeを使います。

riverでもラグが落ちた場合のBB側の戦略

EQ chartは美しいPolar形となり、BB側は250%/250%のProbe Barrelでオールインまで到達していますね。BTN側はFlop時点ですべてのTop pair+をbetしてしまっているので、BB側のriver ALLINのバリューの下限はK3となっています。

ここまで読んだ人の中には「俺はTop pairもちゃんとチェックするし、そんなバランスの崩壊したリークだらけの戦略は使ってねえ」という人がたくさんいると思います。

しかし、次の状況ではどうでしょうか。

COのopenにSBが3betして、982ttが落ちたという場面です。さっきのボードではバランスの取れた戦略を使えていても、このボードでFlush drawやOESDの半分近くをcheckに残せている人は少ないと思います。

このように、多くのスポットで人間はEQ linearなbet range構成をしています。betに直面したら適切にover foldして、checkを咎めにいきたいですね。


Turnでハイカードが落ちたときのEQ水没

昨日はこんなハンドもありました。

BTNvsBB 2bp

Flop K73tt
BB(55) x/c
BTN(TT) bet 33%

Turn K73Att
BB(55) x/f
BTN(TT) bet 70%

BTN側でTTを持っていたメンバーBくんのTurnにおける発言は以下のような感じでした。

Bくん「TurnのAはどちらかというとBTN側に有利なカード。理由としてはFlopでこっちはAをbetできるが、BBは何もないAhiをFlopで降りているから。広くこちらがbetを継続できる場面なので、今回は70% betを選択する。」

ここでBくんは典型的なEQ水没betをしています。Bくんの抱える課題点を一言で表すなら「自分と相手のレンジの一部についてしか考えていない」となるでしょうか。

BB側はもしかすると確かにBTN側よりもAが少ないかもしれませんが、それでもFlopの33%でTrashを捨てているので、レンジのほとんどはワンペア、そしてたくさんのKhitが残っています。Aもバックドアがあるものはcallできるので、普通にAhitもあります。

それに比べてBTN側ときたら、89やT9といったTurnで完全にTrashとなっているハンドをまだ持っています。とてもじゃないですが、レンジ全体でBB側に勝っているなんて言えないというのが実情です。

それでも、BTN側にはNuts Advantageがありますね。

見てください、BB側はトップレンジ同士の戦いでBTN側に完敗しています。こういった「最強格ですら敵わない」ときはPolarizeをやるんでしたね。AKQ gameです。TTなどはpureにcheckして、ナッツ級とエアーを合わせて相手のAhitをriverでindifferentに追い込みましょう。

さて、ここまではBくんへのアドバイスになりますが、ここからはBくんのようなプレイヤーをどのようにExploitするかについて考察します。

Bくんはpure check群のTTをbetしているので、かなり広くBarrelを継続していると考えられます。少し過激かもしれませんが、以下のような戦略を使っていると仮定してみましょう。

これに対してBBはどうAdjustするか、少し考えてみてください。


Trashに加えてmarginalな部分までbetしているからAhitでvalue raise ALLINしますか?Turnでtrashやmariginalを降ろすためにdonk betをしますか?

ここでもレンジ全体を考えることが重要です。思い出してください。我々BBのレンジのTop部分は相手に完全に敗北しています。Turnでraiseを増やすことは相手のTop部分のEVを大きく向上させてしまいますし、そもそもtrashや一部のmarginalにはこちらのブラフキャッチャーは勝っているので、降ろす必要はありません。

大人しくcallで抵抗しましょう。22までcallです。

ひとつ注意があって、ここのcall頻度は相手がriverでbluffをどれくらい継続するかに依存します。MultistreetのAKQを学ぶとわかりますが、Turn時点でのブラフキャッチャーのEVは少なからず「相手がriverでブラフを諦めること」によって得られているからです。

画像の疑似node lockは次のstreet(river)で相手が適切にプレイすることを想定してAdjustしているので、実際には相手のTPB頻度を考慮してcall頻度を調節する必要があります。riverでbluffを継続するかどうかは結構人によって変わると思いますが、筆者的には諦める人が多めな印象があります。

このように、TurnでAやKなどが落ちた場面では均衡以上にBarrelを継続しすぎるというleakを観測(TTがショウダウンになっていたらメモしておきましょう)した場合、Turnはかなりタフコールできることがわかります。
実際にはボードテクスチャによってEQ分布が変化するので適切なAdjustは変わると思いますが、今回は長くなってしまうのでそこについては言及しません。


この手の記事はまた書くかもしれません。北大ポーカーサークルSecondNutsの成長を応援していただけますと幸いです。
ここまで読んでいただきありがとうございました!


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