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【牧師エッセイ】イエスの出産祝い、なんでそれなんですか?


ピーテル・パウル・ルーベンス作 「東方三博士の礼拝」

上の宗教画は、ピーテル・パウル・ルーベンス作 「東方三博士の礼拝」です。

聖書はイエス・キリストが誕生したその晩、東方から3人の博士が救い主を拝みにやってきたことを記していて、ルーベンスはその時の情景を描いています。

彼らは黄金、乳香、没薬の三つを幼子イエスに捧げています。
しかしなぜ、この三つがイエス誕生の時に捧げられていったのでしょうか。

一つ一つを調べてみると、そこにはそれぞれに意味が込められていたことがわかります。
乳香は今のフランキンセンスという香料で、不安や緊張をほぐし、健康を保つ効果があるとして、神殿の礼拝や王宮で焚かれていたものです。
また、没薬はハッカのような香りがする香料で、防腐作用も強いことから、亡骸に塗布するものとしても使われていました。
黄金は当時も貴重な物で、王への捧げものを意味するものです。

また、ルーベンスはイエスの元に来た人々として、聖書に記されている三博士だけでなく、兵隊や奴隷といった多種多様な人々を描いています。
イエス・キリストはこの後、社会的に抑圧され排除されていた人々を救い、十字架にかけられていくことで全ての人々を神の救いへと導いていきました。
そのようなイエス・キリストの生涯すべては、既に三博士の贈り物において前もって予告されていたとルーベンスは解釈したのでしょう。
だからこそ、イエスが生まれたばかりの幼子にも関わらず、三人の博士たちは、彼を王(神)と認める黄金、人々の平安となり、礼拝の対象となることを示す乳香、十字架の死の際に必要な没薬を捧げているのです。

そして何よりも、この絵の中で最も眩い光を放っているのは、人々が持つ松明ではなく、幼子イエスです。
これは、幼子イエスが私たちを救うために来られたことを表しています。
私たちを救い、その心に希望の光を灯してくださるお方として、イエス・キリストはこの世に来てくださいました。
その喜びを思い起こしつつ、クリスマスを迎えたいと思います。

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