チャージマン研!第23話「恐怖!精神病院」

 「チャー研」と一部界隈では有名な1970年代のアニメに精神病院が出てくる回があります。

 主人公の泉研は秘密工場が地下に設置されているという疑惑のある精神病院に潜入します。潜入中の泉研はうつろな目をして精神疾患患者のふりをしています。面会室は患者と面会者の間にガラスが張られていて、まるで海外ドラマの刑務所の面会室のようです。
 ここでの泉研の顔貌はなかなか不適切です。このアニメ自体突っ込みどころが多くて有名・人気なのですが、それが許される時代だったのでしょうか。
 面会に来た父親は泉研から秘密工場が地下に設置されているという報告を受け「じゃあ、警視総監の依頼で"こんなところ"へお前を潜り込ませたのは無駄じゃなかったんだな」と言います。その夜、地下へ潜入した泉研はヨーロッパ半分を消し飛ばすミサイルが発射されようとしているのを発見して・・・。というストーリーです。
 精神科病院を”こんなところ”と言ってのけ、この回は有名になったようです。

 では当時の精神科病院はどのようなものだったのでしょうか。1964年に起きたライシャワー事件により精神疾患患者は精神科病院へ隔離すべき、という世論が支持されていました。
なので一般の人々からすると隔離施設としての精神科病院は得体が知れず怖い印象があったのかもしれません。
 この時代はようやく薬物療法が登場してロボトミー手術やインスリン療法などに代わってきた頃だと思います。
統合失調症の薬物治療も第一世代抗精神病薬と呼ばれる副作用の多い古典的なおくすりしかなく、また多剤併用・大量投与によって、薬剤性のパーキンソニズムや抗コリン作用、鎮静作用などの副作用が多くみられていたのではないかと思われます。
これらの副作用によって精神疾患患者の印象が、うつろな目で、よだれを垂らし、ろれつが回らず、緩慢な動作をする、といったように固定化されていったのかもしれません。

 今でこそ普通に街中に精神科病院がありますが、古い病院はどれも都市部から離れた山の中にあります。建物の老朽化もひどく、やはり今でも怖そうな印象があると思います。
 ですが、この回を見て笑えるということはそれだけ精神科に対する世の中の見方が変化しているということなのではないでしょうか。こういったコンテンツに手軽に触れることができるのもインターネットの良いところです。


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