11文字の殺人を読んで

東野圭吾先生の第5作品目になる「11文字の殺人」の感想です。
あらすじとしては、主人公の女性ミステリー作家の恋人が「誰かに狙われいる」と残したまま殺されてしまいます。その謎を解くために、主人公とその編集者が刑事さながらの行動力で、事件の真相に近づいていくという物語です。一見単純に見えた構造だったのですが、盲目の少女のおかげでかなりミスリードを誘い、想像だにしない結末となっています。面白い。やはりサクって読めるのが東野作品の特徴ですね。または、自分と相性がいいのかもしれません。

今回、「11文字の殺人」ということで、「文字」に着目してみました。
文字って無限の可能性をもっていますよね。文字自体に感情も何もないにもかかわらず、僕たちはその文字の映像を想像し、また書き手をもイメージする。そこに、字面があるだけなに。人間の想像性を書き立てるのが文字です。今回もたった11文字が、書き手の憎悪だったり、読み手に過去を想像させていて、やはり面白いなと。同時に書き方一つで、いかようにも取られるので文字を書くということには細心の注意を引いていきたいと思います。

p.s.書評が、宮部みゆきさんだったのですが、なるほどという着眼点でした。
要約すると東野さんの作品の登場人物は、「個」として完全に独立しており妥協等一切許さないくらい完璧に仕上がっているのです。いやむしろ、殺人を犯すというのは、それくらい「個」が強い人でないと起こさないとも思いました。強く思う何かを持ち、それが打ち砕かれたときに人は行動し、挙句死に至らしめるのだと、、


https://higashinokeigo.net/detail/005.html

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