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日系自動車メーカーの生き残る道とは?(梅澤高明さんとちきりんさんの対談を聞いて思った事・続編)


前回、以下noteで日系自動車メーカーにとって、厳しい将来が待ち受けているとお伝えしました。

車のEV化は、変えられない大きな流れとなっていることは事実だと思います。

世界新車販売台数(約8千万台)の内、日系メーカーのシェアは約3割、一方でEV販売(BEV/PHEV*)は約730万台、内日系メーカーのシェアは、わずか5%。

*BEV  =Battery Electric Vehicle、ガソリンを使わず電気のみを使って走る車
 PHEV=Plug-in Hybrid Electric Vehicle、充電が可能なハイブリッド車

現状、EV化に関しては、このように競合他社と大きく溝を開けられてしまっている状況。

しかし、「日系メーカーが本腰を入れて、EVに注力すれば問題無いはず!」と思われる方もいらっしゃると思います。

では、日系メーカーはいつEV販売に本気になるんでしょうかね?

Honda、ToyotaのWebサイトを見たところ、以下の通りに、ようやく重い腰を上げて、EVへと舵を切ろうとしていることは伺えます。

Honda:
① 2030年までに全世界でEV/FCEV*を200万台越/年間の生産計画
② 2040年までに全世界のEV/FCEV販売比率を100%

*FCEV=Fuel Cell Electric Vehicle」、水素を燃料とするEV

Toyota:
① 2026年までに新たに10モデルのBEV(バッテリー式EV)を投入、全世界で 年間150万台 のBEV販売

やらないよりは遥かにマシですが、これでは遅く、そうしている間に、競合他社はEVにますます力を入れているので、その差は開くばかり。

そもそもの話になりますが、日系メーカーのEVシェアはなぜここまで低いのでしょうか。その要因を見てみたいと思います。



〇日系メーカーのEVシェアが低い要因


(1) まず、EVが日本で流行っていない。
おさらいしますと、日本の新車販売におけるEV比率は、未だたったの3.1%。これは一重に、国も自動車メーカー側も本気になってEV化を進めてこなかった結果です。

EV化に向けた国の戦略一例
・購入補助金と税控除
・燃費と排ガス規制強化
・公共充電インフラの支援
・ガソリン車の販売停止、等があげられます。

EV普及を推進するためには、上記にあげた例の通り、補助金、税金控除、充電設備のインフラ投資等、政府の後ろ盾が必ず必要。

中国においては、エンジンではもはや日本や外資メーカーに勝つ見込みがないと踏み、EVでゲームチェンジを起こそうと、半ば強制的に環境を変えてきました。

中国政府の強烈な推進のもと、BYDや新興EVメーカー(Nio、Xpeng等)筆頭に、EV化が進んでいる状況です。

中国のEVシフトについては、以下のnoteでも触れています。

日本でも、国からの補助金(最大85万円)があり、やってることはやっています。しかし、その他の面では、充電器の数も欧州やアジア近隣諸国比べて劣っており、EVに関しては電欠を心配する不安を払拭できていないのが実態。

21年度人口1万人当たりの充電器数:
日本               :2.3基
フランス        :6.9基
スウェーデン:10基
韓国               :20基
中国               :7基


(2) 日系自動車メーカー側としても、EVはあまりやりたくない。

そもそもEVは儲からないビジネスであり、手を出すにも出せない状況が続いています。そりゃそうですよね、わざわざ新規開発して多大な投資をするよりは、今あるビジネスをどう維持、拡大させることを考えた方が、遥かに事業を見通しし易い状況にあります。

日系メーカーではハイブリッドでの成功体験が、ズルズルと尾を引きずっており、強みであるハイブリッドを捨て、EVへの舵切りをまだしたくないというのが本音だと思います。

品質や性能の改善等、今あるものをベースに研ぎ澄ます事に関しては、まさに驚異的。トヨタを筆頭に日系メーカーのハイブリッド技術は高いものであり、追いつけないと判断したから(欧州メーカーはディーゼルで失敗したからですが)、中国、欧州メーカーはBEVに舵を一気に切り替えたわけです。

さらには、大手自動車メーカーになればなるほど、雇用問題、部品ベンダーとの関係性が複雑に関わっており、中々大胆にEVへ切り替えができないことも関わってきています。

(3)ユーザーもEVには懐疑的

「走っている途中で電欠したらどうしよう?!」、「EVは冬ではつかえないんじゃないのか?!(低温使用でバッテリーは大丈夫?!)」、とあげれば、色々と不安はでてくるものと思います。

とはいえ、EV性能は向上し、航続距離もドンドン伸びていますし、充電器も政府主導で本腰を入れれば、もっと増えるはずです。冬場の走行も、EV普及率が約90%である極寒のノルウェーで、問題無く使えているわけです。

カタログ値 (WLTCモード)
・トヨタ bZ4X  :487~567km
・ 日産 リーフ  :322~450km
・ 日産アリア    :470~610km
・ テスラ Model 3   :565~689km
・ヒョンデ IONIQ 5  :498~618km
 

というように、今の日本の現状を見れば、日本でEVが広がっていないのも、仕方無いのかなと思う反面、確実に世の中は、EV化が進んでおり、家電や携帯電話と同じ末路を歩まないように、是非とも日系自動車メーカーには頑張ってもらいたいところです。

正直なところ、グローバルに見れば、以下のような捉え方をされてしまっているんだと思います。

BEV = スマホ
PHEV = ブラックベリー
ガソリン車=ガラケー

実際に中国では、上海等の沿岸都市部においては、若者を中心に、既に上記のような図式が出来上がっており、ガソリン車(ハイブリッド含めて)は、デザインも販売の仕方も古臭いというイメージが出来つつあります。

〇EVに加えて自動運転が普及すると…


車の自動化が普及すると、ロボット化されたタクシーやカーシェア等で占められ、一般ユーザーの自動車保有数は劇的に少なくなり、車をあえて趣味として持つ人にしか、5%程度しか残らなくなるのでは、と梅澤さんは仰っていました。

自動車保有数については、どの程度の割合になるのかは、今のところは読めませんが、間違いなくこの方向に向けて進んでいることは確か。

だからこそ、こぞって、世界ではこれだけの配車サービス会社(Uber、Grab、ディディ等)が、先を見据えて、参入してきているんだと思います。

この点、日本はライドシェアすら解禁されておらず、相当やばい状況にあると思っています(プラットフォームを抑えている会社が、当然有利になりますので)

加えて、EVマーケットでは、はっきりとセグメンテーションされてしまってます。上記のいわゆるフリート向けと呼ばれるタクシーやライドシェアで使われるような標準車としては、既に中国メーカーがわんさか居座っていますし、ラグジュアリー向けのハイエンド仕様としては、テスラがその地位を掴んでいます。

では、日系メーカーが残された道とはなんでしょうか?


〇日系メーカーが残された道とは?


情緒的価値をひたすら訴えるメーカーしか、生き残れないということです。


残れそうなのは「マツダ、あとスバルかな」ということを、梅澤さんは仰っていました。

マツダは確かにデザインに特化してますし、感性に訴えかけるという視点では当てはまっていますよね。

スバルは、情緒的価値を押しまくっているメーカーですので、この点は納得。スバルが、金曜ロードショー等で流すCMのような世界観です、車が家族に寄りそう的なあのイメージです(実はスバルのアメリカ側のマーケティング手法が上手く、それを真似してるだけなんですけどね)。

元サイトが見つかりませんでしたが、10年以上前から以下のようなCMをアメリカで流しまくってるのが、スバルです(この動画は、かなりバズっていました)


車を単なる移動手段だけとして見れば、たしかに自動化して、上記であげたような将来になるのは、それはそれで良いのかもしれません。

ただ、個人的には、そもそも運転するということを、喜びとして捉えるとちょっと違った見方になると思います。

もはや記憶の片隅にあることですが、初めて自転車に乗れた時って嬉しくなかったですか?小学生の頃、自転車に乗って友達と一緒にどこか知らないところまで行ってみようと、ワクワクしながら運転してませんでしたか?

また、初めて原付やバイクに乗れるようになって、自分で運転して遠くまで行けるようになって、嬉しくなかったですか?

高校を卒業して速攻で自動車免許を取り、自分で車のハンドルを握りしめ、運転した時のあのどこまでも行けるっていう感覚って、何か単純にすごい嬉しかったことを覚えています、私はそうでした。

世の中便利になることで一方で、誰もがかつてできた体験ができなくなってしまうこともある。そんなことを、ふと思いました。

だからこそ、車を使って、モノからコト、そして経験へとつなげられるメーカーこそが、生き残れるんじゃないかと思っています。

まだ、この梅澤さん×ちきりんさんのVoicy対談は、11月30日まで聞けます。自動車産業のことだけでなく、様々なことについて、高い視座から物事を語ってくれています。既に聞かれた方も、もう一度聞く価値がある内容だと、心から思います。

ではでは、今日も一日頑張っていきましょう!

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