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機動隊ってこういう場所・・・

時は4月1日
前警察署から、機動隊の独身寮にすでに荷物は送っているので、愛車に乗り、最低限の荷物をもって卒業配置の地方から札幌の地へ。


異動は3月31日までが前の警察署の所属であり、4月1日の朝一で出発するというルールがありました。
理由は、4月1日前に異動先で事故られても困るから。
事故とは交通事故以外の事も含まれます。というか交通事故以外のことの方が圧倒的に多いのです。

例えば赴任先が希望の場所で、地方警察署から札幌に転勤できました,
という場合
地方でも居酒屋は存在します。
赴任前日、仲の良い同僚と飲みに出ることは本当によくあります。
札幌に行っても頑張れよな、など少なくてもその警察署で一緒に仕事していい仕事した思い出など存在しますので、その話を肴に飲むのです。
そうして通常の人間であれば明日は赴任初日で朝も早いため、一次会でお開きという流れになりますが、警察官は一定数バカがいるので、調子にのって二次会三次会と流れる
ド田舎であれば飲みの店自体が少ないので、そんな心配はないのですが、ある程度の地方都市であれば飲みの店がある程度あります。
すると、居酒屋から出てそういった店に行こうとなるのです。
でも、同僚はやめておけと注意しますが、転勤者本人は浮かれているので注意を聞き入れません。
すると、同僚からすると「そうか、では気をつけてな」などと転勤者を捨てます。
ある程度警察官をしていると、飲酒でなんらかの事故を起こすパターンというのが見えてきます。
そうです、この転勤時期がまさにそうなのです。
同僚は巻き込まれたくないということで、でも一回は注意したからね、と既成事実を作り退散。
バカの転勤者はそのまま一人で飲みに出ます。
ここから複数の事故パターンに分かれます。

実際にあった事例としては、一人で飲みに行き隣の客と口論になり、警察官が一般客を殴打し暴行事件で逮捕される。
というもの
あとは、酔っぱらって他人の家に侵入して通報されるパターンが多いですね。

翌日、転勤者本人は留置場で目覚めるか、保護室で目覚めるか、いずれにしてもある程度の地方都市であれば、警察署は自署のみではなく2,3か所の警察署で地方都市を担当しているので、普通に逮捕されます。

自署は飲食店街の担当ではなかった、ということで転勤者のことは逮捕警察署が知らなかった。
取り調べで警察官だと判明するのです。

そうなると、転勤初日に赴任先に本人がこなくて、逮捕警察署から3月までの警察署に連絡がいき、赴任先の警察署に連絡がいくことになります。

当然本人は辞職か懲戒免職でしょうが。

警察組織としては、逮捕された時間により、前の警察署の責任なのか、転勤先の警察署の責任なのか、ここが大事になります。

責任は負いたくないので、おとなしくしておけよ、と、だから3月31日まではそこにいて、4月1日から朝一で転勤先に移動させるのです。

そんなことをしてもアホはアホなので、止めようもないのですが。

私は新人なので、おとなしく独身寮で朝を待ち、4月1日の朝一に愛車で札幌を目指しました。
当たり前でしょう。新天地で挨拶するのに酒臭いとか舐めてますよね。

機動隊では、指定された駐車場に愛車を駐車させ管理隊というところで担当警察官に挨拶して、まずは自分の所属の中隊長、小隊長、分隊長に挨拶をしました。
他の巡査の先輩たちは訓練で居ませんでしたが、独身寮で合うことになるでしょう。

自分はスーツで挨拶を、上司たちは当たり前ですが機動隊の服
これは警察官の制服ではなく、隊の指定服、紺色の飾りッけのない作業服です。
右肩には、警察の旭日章がワッペンとして縫いつけられている服でした。
この執務服のサイズ合わせ、帽子、それから出ました。
警察学校で来ていた機動隊の鎧のサイズを合わせてその日は終了。

あとは独身寮の自分の部屋に、届いていた自分の荷物を運び整理してくれとのこと。

前の警察署でも独身寮だったので、荷物は段ボール2箱
これを持ち自分の部屋に・・・
部屋のドアには、でかい紙が貼られていて、ドアと同じサイズでした。
既存の隊員が私に対する歓迎のメッセージ?をそれぞれ殴り書きしていました。
歓迎 seigikann隊員
筋トレするぞ
機動隊最高
柔道部に入れ
など、紙の上の方は比較的まともなことが書かれていました。
下の方には
酒の一滴は血の一滴
てめーはしばきまわす
ひねりつぶす
挨拶がねーのか
など、いきなり意味の分からないことがさらに殴り書きで書いてありました。
それを見て「本当にやばい場所に転勤してきたんだ」と実感しました。

紙を剝がしたら、何剥がしているんだと言われそうだったので、そのままに
私は比較的早く機動隊についたので他の転勤者はまだ来ていない様子でした。
隣の部屋を見ると、隣も新人隊員だったようで、同じようなことが書かれたでかい紙が貼ってありました。

とにかくそっとしておいて、自分の荷物を整理しよう
物音を絶てないように、静かに静かに

まだ見ぬ先輩方が怖かったので、その日は部屋のかたずけだけをやり一切部屋の外に出ませんでした。
そもそも誰が自分と同じ隊の人なのかもわかりませんので、挨拶のしようがないのです。

まあ、翌日にわかるでしょう。

とにかく疲れたので、翌日に備えて22時には就寝しました。

夜中の1時ころ、なんだか外が騒がしくて目が覚めました。
部屋の廊下が騒がしのです。

独身寮の構造は、正面玄関を入ると、一階は食堂、2階以上が部屋だったりするのですが、階段を上がると廊下があり、横一列に各隊員の部屋が15部屋ほどあり、ドアには○○号室と書かれてドアがある。
部屋の向かいはすべて窓になっているのです。

廊下では、数名が酒に酔っぱらって外から帰ってきた様子でした。
大声で、「おらー」「新人挨拶がねーぞー」などとなにやら怒鳴っている様子。
私の部屋は寮の中央付近に位置していましたが、端っこの部屋から「ガチャガチャ」「ドンドン」と音がして、部屋のドアを開けようとしたり、開けて中に隊員がいれば
「おら、飲めや」などと酒を煽っている様子でした。

なになになに?怖いんだけど

すると、私の部屋の番です。
ガチャガチャ 居留守を使いました。
鍵はかけていたので入ってきません。
「いねーのか!!」
怖いので返事はしません。
寝たふりを決めます。

酔っ払いはあきらめて次の部屋へ
その部屋は、私と同じ新人隊員の部屋
ガチャ、「おら―、新人のめやー!!」
隣で被害者が出ました。
「鍵をかけないとは防犯意識のかけらもねーなー、めてーは罰としていっきのみじゃー」

新人隊員と思われる人は「ひいひい」と泣いているような感じでした。

なんなんだここは、
おおよそまともな場所ではない!!
こわい

そうして夜は更けていくのでした。




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