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散文的な、詩的な

熱しやすく冷めやすいというのは、少女にはありがちなのだろうと思いつつ、私いつから大人の女になってしまったのだか、自分でもよく分からない。

分からないなりに、大人といっても差し支えないんだろうな、などと考えている。

ただ同時にこうも思う。つまり、少女だったころの私といまの私はずっと地続きでつながっているのに、その境目がどこかなんて、一体どうして線引きできるだろうか。

虹やゆうやけのグラデーションのように、色はぼんやりと気づいたら変わっているものなのだから、そこにわざわざ乱暴に線を引いて区切りをつけるなんて、野暮でしょう。目的もないのに時間を、空間を、世界を区切るなんて、傲慢だと思わないか。

だから私は少女でもあり、大人の女でもあり、きっと幼女でも、おばあちゃんでもあるのだ。そう思った方が楽しいような気がする。

さあ、春からみんなどこへ向かうのでしょう。今いたところより、もっとすてきなところにたどり着くといいね。たとえ私のことを忘れていってもいい。だって私も少しずつ、あなたを忘れていくかもしれないから。

そんな必要ないのに、へんに他者と自分を比べないで。だってあなたが自分を他者より優位に感じようが、あるいは自分を他者より卑下しようが、それはいずれも、あなたが周囲とは違う存在だということを感じていたいだけ。たとえそうじゃないとしても、そう言われたら何も言い返せないでしょう。

だったらやめちゃいなさい、そんなことをするのは。

あなたは世界中であなただけで、でもそれはみんな同じこと。どんなにきらいなひとも、愛おしいひとも、世界でたったひとりだけ。あなたの目の前にいるそのひとだけ。そういう意味では、特別はあたりまえ。でも、やっぱりそのあたりまえは特別なの。

あなたはあなたが思っているよりずっとやさしくて、いじわるだ。そのことを憶えていて。いつだって、あなたはあなたが思っているより必死だし、余裕がある。苦さと甘さは両立する。

過去に起きた何かを自分のせいと思い込んでいるあなた、それはあなたが感じているよりは、あなたのせいでない、他の誰かのせいです。何もかも全て誰かのせいだと思っているあなた、それは少しはあなたのせいです。

そしてそれはきっと私もそう。

今夜は泥のように眠って、明日の朝また目覚めて。そして太陽に愛の言葉をささやき、月に憎まれ口を叩いて。それでいいのだ。世界は最初からある程度つくられているが、そこを冒険するのはあなただ。

いつでも世界を俯瞰的に夢想して、胸の中で絞め殺されてしまった言葉を決して忘れないでいましょう。

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