青葉

文学を学んでいた22歳の日々

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文学を学んでいた22歳の日々

マガジン

  • 風待ち日記

    水無月のほとりで風を待つ、いつかその日が来るまで

  • 彼、もしくは彼女について

    うつくしく、たくましいひとびと

  • 遠距離物語

    遠距離恋愛4年目の恋人とのこと

  • スピン

    四季それぞれに、好きな本を気ままに

  • ひとりごと

最近の記事

  • 固定された記事

私のばかりじゃなく、みなさんのお話もお聞きしたいな、と思ってマシュマロをくっつけてみました。いつでもひらいていますから、もしよければお話きかせてください。どんなささやかなことでも。 人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ🌱 https://marshmallow-qa.com/strawberry_moon?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

    • レース編みの光を浴びて

      午後の光というのは、どこか穏やかなようでいて情熱を秘めていたりするので、なんとも好ましいなあと思う。 桜が散ったあとの季節の太陽の光は、春にしてはやや強すぎて、夏というにはまだまだ未熟だけれど、私にはちょうどいい。やさしくてほがらかでさわやかで。風がぬるくて気持ちがいい。木かげがひんやりしていて気持ちいい。 大体、季節というものは総じてたちが悪い。季節は私の手をとって巧みにエスコートし、心底楽しそうに踊ってくれるけれど、こちらがその気になってきたころには、私の手の甲にキス

      • 恋人の妹の話

        好きなひととのお付き合いが長くなると、相手の家族と会う機会も自然に増えていく。 彼を守り育ててくれたご両親にお会いするというのはやっぱり一大イベントだけど、好きなひとに兄弟姉妹がいると、よりおもしろい。 好きなひととともに育ってきた、親とはまたすこし異なる存在。 もし兄弟姉妹がいるならば、よくもわるくも、互いに影響を与え合っていないわけがないから、私は知っているひとのきょうだいを見かけるといつも興味津々に観察してしまう。 私の恋人は長男で、下にふたり妹がいる。 彼と

        • 黒板消しのあいつ

          私にはふたり妹がいる。ひとりは春から大学2年生に、もうひとりは中学1年生になった。 11歳年が離れている下の妹が晴れて中学生になったので、自分が中学生だったころのことを思い返すことが増えた。 中学生だったころ。感覚的にはついこの前のことなんだけど、時間でいえばもう10年も前のことらしく、そのことに驚いてしまう。この調子だと、気づいたときにはもうおばあちゃんになっているんだろうな。 下の妹は人見知りをするたちだし、口数が少なく寡黙で、積極的に誰かに声をかけるタイプではない

        • 固定された記事

        私のばかりじゃなく、みなさんのお話もお聞きしたいな、と思ってマシュマロをくっつけてみました。いつでもひらいていますから、もしよければお話きかせてください。どんなささやかなことでも。 人生はビスケットの缶だと思えばいいのよ🌱 https://marshmallow-qa.com/strawberry_moon?utm_medium=url_text&utm_source=promotion

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        • 風待ち日記
          33本
        • 彼、もしくは彼女について
          20本
        • 遠距離物語
          25本
        • スピン
          1本
        • ひとりごと
          28本
        • 花摘み
          4本

        記事

          野の草花を摘むように

          今年はもう1年間、学生でいるという選択をしたのだけど、同級生たちがみんな毎日働いているのに、私だけまだのほほんとしているというのは、なんともうしろめたい気持ちになる。 私の実家がお寺だということは、以前にも書いたことがあるように思う。 母がお寺のひとり娘で、父が婿入りして跡を継いだ、田舎の山の上のお寺。50歳を超えたばかりの両親は、いまの私と同じ年齢のころに高野山で出会い、23歳のときには結婚しているので、もうずいぶん長い間一緒にいることになる。 私は3人姉妹の長女で、

          野の草花を摘むように

          春の散歩道には

          物理的な距離が離れるとこころの距離も離れてしまうとはよく聞くけれど、それをあっさりと認めてしまうのは癪なので、私と恋人は大学進学にあたって遠距離恋愛という選択をした。 そんな私と彼との4年間の遠距離恋愛が、ひとまず終わった。 ひとまずと書いたのは、せっかく彼が地元へ帰ってきてくれたのにもかかわらず、私が初夏から県外へ出なくてはならなくなったからである。 どうして県外へ出るのかということについては、また近いうちに書くつもり。ただ、私も恋人も今年はもう1年間勉強して、来年度

          春の散歩道には

          さよならではなく、またねと笑って

          もらった一万語はすべて「さよなら」に使い果たしたい、悪く思わないでくれ、という内容の詩を見かけたことがある。うろ覚えだから間違っているかもしれない。けれどたしか、寺山修司さんの詩だったと思う。 なんでこの詩を思い出したのか。たぶん、大学を卒業してしまったからだろう。 「さよなら」を言うためだけに一万もの言葉を用いたら、それは一体どれほど豊かな別れの言葉になるだろう、とふと思ったのだ。果たして私は一万もの言葉を知っていて、それを「さよなら」だけに費やすことができるだろうか。

          さよならではなく、またねと笑って

          におい

          小学生だったころ、同級生の誰かが脱いだまま置き忘れている体操服とか、制服の上着とかのにおいをかいで、その持ち主を当てることができた。 田舎の小学校で、学年の人数が20人にも満たなかったからというのもあるのだろうけれど、私は同級生みんなのにおいを知っていた。私だけではなく、きっとみんなもそうだった。 たとえ誰かが分からなくても、そういうときは別の誰かがくんくんと鼻を動かし、「これはあいつのだ」「これはあの子のだ」と、置き去りにされている衣類の持ち主を必ず探し当てた。 だか

          におい

          穏やかでねむたい午後に

          JUDY AND MARYの散歩道を聴いて、やたらのびのびした気分になっている冬とのお別れの季節、春が来たら黄色い花冠をつくって頭にのせ、お姫さまのようになりたいな、とぼんやり思いながら、うとうとお昼寝をした。 3月に入ってから、ぽつぽつと大学の友人への手紙を書いている。もうじき卒業式だから。 私の友人たちはみんな文学を学んでいるひとびとだから、それぞれのやり方で言葉を愛しており、そんな彼らに手紙を書くとなれば、ブラウスの袖をまくり、深く呼吸をしてから紙とペンに向き合わね

          穏やかでねむたい午後に

          散文的な、詩的な

          熱しやすく冷めやすいというのは、少女にはありがちなのだろうと思いつつ、私いつから大人の女になってしまったのだか、自分でもよく分からない。 分からないなりに、大人といっても差し支えないんだろうな、などと考えている。 ただ同時にこうも思う。つまり、少女だったころの私といまの私はずっと地続きでつながっているのに、その境目がどこかなんて、一体どうして線引きできるだろうか。 虹やゆうやけのグラデーションのように、色はぼんやりと気づいたら変わっているものなのだから、そこにわざわざ乱

          散文的な、詩的な

          #1 本を読み、春を待つ

          はじめに 私はこれまで、本を紹介する記事を書いてこなかった。 なぜなら私はnoteで好きな本のあらすじや自分の解釈を書きたいわけではないし、たとえ私の文章を読んでも、その小説のよさは決して伝わらないだろうと思っていたからだ。 だから何か書こうと試みては、その度に「うーん、ちがう気がする…」となって、編集中の記事を消去することを繰りかえしてきた。 しかしこの度、ようやく小説紹介の記事を書いてみることにする。 すこし話が脱線するけれど、ネット上には小説の最初の一文目だけ

          #1 本を読み、春を待つ

          いつかこの日々が

          こんばんは。 あけましておめでとうございます。 とても久しぶりにここにきました。気がつけばもう2月だ。かなり長い間、私はnoteを書いていなかったらしい。 本日はまず、ご報告からなのですが、先日無事に卒論を提出しました。 締切は1月22日(月)の午後5時でした。卒論内容についての発表はありません。2月5日(月)~8日(木)にかけては口頭試問がありました。これは先生方に、卒論の内容について質問されるというものです。私は昨日、この口頭試問を受けました。 そして本日、私たち

          いつかこの日々が

          強いきらめきの後ろにちらりと一瞬だけ見える影に惹かれてしまう私たちは、世界に生まれ落ちたそのときから、光も闇も、両方とも持っているのだ

          強いきらめきの後ろにちらりと一瞬だけ見える影に惹かれてしまう私たちは、世界に生まれ落ちたそのときから、光も闇も、両方とも持っているのだ

          陰鬱なる土曜日

          土曜日じゃないのに土曜日とタイトルをつけた。そして夏じゃないのに、夏に撮った写真を使うことにした。そうでもしないと、やってられない気分なのだ。冬のつめたい風に負けてしまいそうなのだ。 たとえば非常階段の3階に立ち、爆音で音楽を聴きながら雨交じりの風に吹かれても、この気持ちはどうにもならない。胸の中へ押し込むことも、逆に追い出すこともできない。だったら、書くしかないではないか。 *** とびきり晴れた日に暗い曲を聴きたくなると言うと、たいていの人は「どうして?」と顔をしか

          陰鬱なる土曜日

          本日より、卒論執筆開始。最終締切日は1月22日(月)です。春から何度も何度もレジュメやレポートを書いてきたのだから、きっと大丈夫。よいものが完成するようにみんなでしっかり取り組むぞ🏳️‍🌈✨

          本日より、卒論執筆開始。最終締切日は1月22日(月)です。春から何度も何度もレジュメやレポートを書いてきたのだから、きっと大丈夫。よいものが完成するようにみんなでしっかり取り組むぞ🏳️‍🌈✨

          お砂糖とミルクを混ぜて

          金木犀の香りがふんわりと風にのって鼻をくすぐる、わずかな季節も過ぎ去って、ここ最近は朝夕の寒暖差が大きく、不安定な大気はしょっちゅうざあざあ降りの雨を私たちの上に落としていく。冬が近いのだ。 とはいえ昼間の白い月とか、水分量が多く、陰影のついている豊かな雲だとか、外を歩いていて日陰から日向に出たときに肌をほんのりあたためてくれる太陽の光だとか、そういうのをわりと楽しめているような気がする。 皆さま、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょう。 先月から、私にはしっかりとした

          お砂糖とミルクを混ぜて