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寡黙な詩 《詩》

「寡黙な詩」

既存の社会的通念が

創り出した定められた枠

その均衡を突き崩し

調和と安定を
賛美する歌に耳を塞いだ


譲歩の余地の無い通告が

西側の窓辺から見える


僕は自分自身を

理解する為にまたペンを取る

全ての微妙な動きまでも
静止した文字に移し替えて行く

君の黒髪に口付けた感触が 

小さく震える膝を両手で掴む 

そして思考の中に深く身を沈めた


来たるべき何かを示唆する


寡黙な風 

寡黙な光 

寡黙な詩


彼女が僕の視界から消えた時

眠れない長い夜が訪れ

僕は鋏を使い綺麗に夜空から 

想い出を切り取り続けた 


どの場面も
輝きに満ちた美しさを持っていた

其れは完璧過ぎたのかも知れない


僕が文字に移し替えて来たものは

既に全ての意味を失っていた 

わかっていた事だった


この 畜生共が!

最後に一行 こう書き残した

Photo : Seiji Arita

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