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救い難いロマンチスト 《詩》

「救い難いロマンチスト」

この世の中を

構成している大多数の人間は

凡庸でフェイクな

二流品であると言って退けた


ある種の特異性が描く

違和感こそが芸術であると


其処にある特殊な形をした

感性の器を 
手に取り指先でなどりながら

何かを感じ取ろうとしていた


彼女にとって文学が全てであり

時の流れを
暗示する様な微笑みを浮かべた


生まれながらの 

構造的な欠陥を曝け出す 


これが私だと 躊躇いも無く

残念ながら

僕もその凡庸な二流品の中に居た

社会的常識と
書かれた線の上を歩いていた

踏み外さない無い様にと


無数の星は

定められた場所で光を放ち

それをただ見つめている僕が居た


何かが欠けていて 

誰も持っていない
何かを持ち合わせていた


終わりかけた青空には 

ハッキリと冬の匂いが混じり

遠くから僕を呼ぶ声が聞こえた 

違う 
きっと僕の中で誰かが叫んでいる


僕は静かに彼女の名前を呼んだ

星は既に消え 世界には

顔を持たない人が溢れていた


救い難いロマンチスト

そう聞こえた 

確かに彼女の声だった 

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