リファレンス 《詩》
「リファレンス」
記憶の残像 その断片を独り辿る
複雑に絡み合う混沌の記録を
選分け様ともがいていた
限定された時の中
何ひとつ選択出来ない僕が居た
虚空を睨む沈黙が
昆虫標本の様な世界を包む
書庫に並んだ本は全て必要で
全て必要無いものと一緒だ
1ステップ
2ステップ
3ステップ と
マニュアルに書いてある通りに
ボタンを押して来たが
結局 最後は
GAME OVER と表示された
人気の無い映画館
水の無い死んだ噴水
リファレンスを行っていた女性が
僕に近づき
もう終わりです 閉店致します
そう静かに囁いた
わかったよ 僕はそう答えた
その女性は
まるで他人の様に
僕の前から去って行った
僕のせいじゃないさ
そう言いかけてやめた
彼女は1度も振り向かなかった
随分前にも
こんな別れをした様な気がする
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