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腕を組む心理 ーシンプルな解説と実生活への応用ー

 先日、初診外来で威圧的な患者さんがいらっしゃいました。タメ口をまぜた高圧的で指示的な口調と強張った表情、腕を組んでいます。

 これは緊張しているな、と思った私は丁寧に話を聞いてから、すべての質問に答えつつ現状を説明し、その場で診療計画を立てて提案しました。

 高い位置で組まれていた腕は次第に低い位置に移動し、診察室を後にする頃までに腕は解かれ、笑顔がみられました。威圧的な態度は何処かへ消え去って、お願いしますと丁寧にお辞儀をして退室されました。有難い事に同席したご家族からは「感動した」という言葉を頂きました。

 これは心理学の応用です。

 腕を組む心理の根本は「パーソナルスペースを確保したいという欲求」です。
 腕を組む心理について調べると色々な人が色々なことを言っていて実に混沌としています。広告をつけながらダラダラと書いている記事、無駄の一言に尽きます。要点は二文で示せます。

 低めの位置で腕を組むのは「拒絶」

 高めの位置で腕を組むのは「不安と緊張」

 これだけです。腕を組む心理について、これだけ押さえておけば大丈夫です。

 先の例に照らし合わせると、初めは「不安と緊張」から高圧的な態度(威嚇)をとっていたものが、疑問に答えることで「分からない」が「分かる」に変化して恐怖や不安といった感情が和らぎ緊張が解けました。次いで「この医者を信用していいものか」という「拒絶」に対して、その場で具体的な診療計画を立てて、スタッフと円滑なコミュニケーションをとっている様子を見せることで「信頼感オーラ」を醸し出し、拒絶を解いていったという構造です。

 高い位置の腕組みを「威圧」と説明する人もいますが、それは浅い理解であって、なぜ威圧しなければならないのかを考える必要があります。不安で、緊張しているからです。弱い犬ほどよく吠えます。自分を大きく見せようとするのは自分の小ささを知っているからです。根底にあるのは恐怖の感情ですね。
 低い位置の腕組みを「深く考えている」とか「不安」とか「緊張」とか説明する人もいますが、これは応用に向きません。重要なのは結果として他者を「拒絶」しているということです。拒絶している状態の人には不用意に近付かない方がいい。拒絶の理由が解消されるまで、適度な距離をとって静かに待つのが最善と考えます。

 繰り返します。

 低めの位置で腕を組むのは「拒絶」

 高めの位置で腕を組むのは「不安と緊張」


 この基本を覚えておくと、身近なあの人の心理が読めるかもしれません。
 ただし、心理学を修めた者同士の戦いでは腕組みの仕方は基本技術ですから、私のように意図的に組み方を変化させて混乱を誘うような人もいるかもしれませんので、ご注意くださいね…。

 心理学分野において、自分がどんなタイプか気になる方は下記がヒントになるかもしれません。

 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、心理学が貴方の人生をほんのり生きやすく変えていきますように。


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