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「柊と南天」第3号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
塔の1973年から1974年の歌人の皆様が結社内同人誌「柊と南天」を発行されています。創刊号は0号を含め、4回に渡る発行を繰り返しています。

1975年生まれ短歌アンソロジー「真砂集」は、発行に続ける気概がなく1回限りの企画でフォローをしきれずというところがありましたが、同じ結社で同世代がいるということは大きな強みなのかもしれません。

さて、今回は参加者の作品に加え、コスモスの大松達知さんの全号評、互いの一首表に加え、全くの同世代1973年生まれアンソロジー「OCTO」を読むという特集があります(第二次ベビーブーム真っ盛りですね)。

個人的な話なのですが、私にも2歳上の姉(短歌とは無縁)がいます。高校の部活でも、大学のサークルでも、なぜか2歳(2学年)上の方々に、とても仲良くしていただき、多くのことを教わってきたこともあり、勝手に強い親近感を持って読んでいます。

水匂う風がわたしを研いでゆく 行こう、素敵なバスがでるから
中田明子「月と水母」

内面的な美の世界にとどまらない、前向きな歌としてこの歌を良いと思った。一連を読んでいくと自分の外部に向けられた視線が、自分の感覚や記憶を呼び起こすようである。そして、外部からの刺激を自らの感性を磨く砥石のようにとらえて、好奇心の赴くままに自分の枠を超えていこうとする。そして読者をも引っ張ってくれるような明るさが心地よい。

中田さんとは結社を超えた歌会で何度かご同席したことがある。対象に対する言葉の選び方やその並べ方に常に美意識を感じさせる作者であり、バランス感を大切にされていると印象を持っていた。

その中で、掉尾に置かれた一首は、自然に自分を肯定しつつ、読者を中田さん自身が感じている、美しく心地よい空間に連れて行ってくれるように思えた。

(この記事は徐々に追記しつつ読み進めてまいります)

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