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「富望荘」と「太極荘」

成城学園には、キャンパス外にも成城生たちになじみの施設がいくつかあります。今回はそのなかから、以前「海の学校」として使われていた「富望荘」、「山の学校」として現在も使われている「太極荘」にスポットを当て、伝統行事とともに紹介します。

水平線に浮かぶような富士山を望める「富望荘」

毎年7月に行われる中学校の「海の学校」は、長年にわたって受け継がれてきた伝統行事です。「海の学校」の実施場所として代々利用されたのが、千葉県富浦にあった宿泊施設「富望荘(ふぼうそう)」。目の前に原岡海岸が広がり、真西の水平線に富士山が浮かぶように望めることから「富望荘」と名付けられました。

千葉から海に浮かぶような富士山を望めた「富望荘」

1940年に小学校の保護者であった中村庸一郎氏から寄贈されたこの施設は、当初は「コ」の字型の木造平屋建てで、中庭を挟んで男子用と女子用に分けられていました。
その後、1972年に鉄筋コンクリート3階建てに大改築され、成城学園を代表する校外施設の一つとして初等学校から大学まで広く利用されていました。年間の利用者は延べ6000人に達した年もあったといいます。70年以上にわたり成城生になじみ愛されてきた施設でしたが、老朽化に伴い、2014年3月、惜しまれながら解体されました。
現在も「海の学校」は千葉県南房総で行われています。2020年、2021年はコロナ禍の影響で中止となりましたが、2022年7月、ようやく3年ぶりに中学1年生を対象に実施。生徒たちは、富士山の見える海を思いきり楽しみ、ライフセービングプログラムでは命の大切さを学びました。海を満喫し、生徒たちの笑顔が弾ける4日間となりました。

栂池高原の標高1830mの地に建つ『太極荘』

中学校の「山の学校」として60年以上にわたって利用されているのが、長野県北安曇郡小谷村にある「太極荘」。1935(昭和10)年に、栂池高原の標高1830mの地に建てられた木造2階建ての山小屋です。

成城生の伝統行事を60年以上見守ってきた「太極荘」

北アルプスの白馬三山や八方尾根を見渡せる景勝地に位置し、1955(昭和30)年から60年以上にわたって「山の学校」に利用されています。約 30 人を収容、旧制高校の時代から今日にいたるまで、四季を通じ多くの学生・生徒に利用されてきました。
築 80 年以上のため、建物の老朽化は否めませんが、「太極荘を残したい」という現役学生や卒業生の思いから「太極荘の保存を考える会」も発足しました。
「海の学校」と同様に、「山の学校」も2020年、2021年は中止されましたが、2022年7月、中学2年生を対象に実施されました。生徒たちは、白馬岳、燕岳、唐松岳の3つのコースに分かれてトレッキングし、大自然を満喫。笑顔があふれる山での宿泊となりました。

時代が変わり、プログラムやカリキュラムに変化があっても、伝統行事「海の学校」「山の学校」は、大切な校外学習の場。ここでの体験が、生徒たちにとって素晴らしい思い出になることを常に願っています。

文=sful取材チーム 写真=成城学園
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sfulvol.18(2023年12月発行)を公開しました!


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