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西早稲田・染めものがたり博物館から銀座・志ま亀まで

急に春めいて暖かかった2月下旬に、外国人の友人に誘われて、西早稲田にある染めものがたり博物館で、トートバックを作るワークショップに参加した。

トートバック作成費用は2500円。
染めものがたり博物館ホームページhttps://sarakichi.tokyo/experience/

染めものがたり博物館、入口

西早稲田の川沿いにあり、1964年の東京オリンピック前は、川で染めものの染料を洗い流していたそう。オリンピックを機に、水質汚染等規制から、川で洗うことが禁止されたそう。高度経済成長期の日本の環境規制の変化が、少し前の中国みたいだ。


私の作品
紺地にシルバー 9月のお花 コスモス柄

トートバッグの製作工程は至ってシンプル。まず、トートバックの色と、染める柄を決める。トートバックの色は4色(白、ピンク、黒、紺)、柄は月ごとのお花柄が12種類ある。選んだトートバックの上に、型紙を置き、その上に染料をのせ、しごいて色を定着させ、型紙をゆっくりとめくる。希望すれば、名前も手書きで入れることができるが、私は失敗を恐れてチャレンジせず。一緒にいった友人は美しく名入れまで完成させていた。最後にドライヤーで乾かす。

私は、もうすぐにオーストラリアに行ってしまう友人が9月生まれなので、9月のお花、コスモス柄を選んだ。


型紙の収納場所 

博物館では、彫刻刀で彫った型紙、富田コレクションが大量に保管されている。とても繊細な手作業で作られており、1枚約40万円するそう。江戸小紋の生地を作る際は、絹生地に選んだ型紙をのせる。

染料

染料には糊が混ぜてある。選んだ型紙の上から染料を扱いて染める。その後、生地を蒸して、洗って糊を洗い流し、乾かすまでは実際にどんな色に染まるか分からないそう。

ローラー捺染する機械

おが屑をまぶして、生地が糊でついてしまうことを防ぐ、昔ながらの工程。

江戸小紋の柄帳『富田コレクション』

この柄帳の中に、沢山のストーリーが詰まった江戸小紋の柄が所狭しと詰まっている。



江戸小紋柄のネクタイ

表は網、裏は縁起物の鶴。その心は、幸運の象徴である『鶴』を網で沢山捕まえてほしいというメッセージ。富田会長自らが沢山の商品についてのストーリーをご丁寧にご紹介下さったことに、感謝の念を新たにしている。

染めものがたり博物館に行く前に、三島由紀夫さんが、約3年間、真剣にお付き合いされていたとされている、ご令嬢、豊田貞子さんの回顧談『ヒタメン』を読んだ。3年間ほぼ毎日デートをしていたにもかかわらず、貞子さんは一度も同じお着物で出かけたことがなかったというストーリーが心に残った。雪が降ったら、兎柄のお着物で出かけるといった、お洒落を楽しむ慶応女子高第1期卒の貞子さんに、三島さんは惚れ込んでいたそう。彼女とお付き合いをしていた際に傑作『金閣寺』を書き上げた。『ヒタメン』を通して、三島さんの創作活動の原動力となった女神の存在を知った。

今年1月の千葉県市原市で開催されたエンジン01でお話を聞いたのがきっかけで、林真理子さんがお着物入門者にむけて執筆された『着物の悦び』を読んだ。林さんはこの本の中で、着物入門としての江戸小紋を作ることを勧めていた。4月から茶道を始めることもあり、江戸小紋を作りたいな、っと思っていたところだったので、渡りに舟というか、トートバックを作りに行ったつもりが、江戸小紋について、その多種多様な柄に沢山のストーリーが詰まっていることを学ぶことができた。

ちなみに、エンジン01で受講した林真理子さんの講義に中園ミホさんとご一緒に登壇された中江有里さんが前述『ヒタメン』の巻末解説を書かれていることに気づいた。

自分が好きなことを遠慮なく選んで行動に移すと、色んなところで知識や情報ネットワークがバシバシと繋がることに改めて気づく。そんな時に、私は神様からのエールを感じる。

直面(ヒタメン)三島由紀夫若き日の恋 (文春文庫 い 75-4)
https://amzn.asia/d/88qRQFF

林真理子さんの『着物の悦び』(新潮文庫)
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/410119114X

最後に林真理子さんイチオシの銀座の呉服店、志ま亀さんのホームページを。(トップ写真は、志ま亀さんホームページより引用)

http://www.shimakame.co.jp/index.html

素敵な柄と色味に心奪われる眼福…貞子さんもきっと良くご存知のお店なんだと思う。そんな貞子さんから、三島さんは美しいものへの愛や情熱を掻き立てられたのだろう。林真理子さんも『着物の悦び』の中で、呉服屋さんに、雑談しに気楽に立ち寄ってみてっと書いていたし、近々、娘を連れて志ま亀さんに行ってみようと思う。








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