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インタビュー:神奈川県のレタス生産者「平凡野菜」後編

 新鮮・安心・おいしい。そんな持続可能な作物づくりに取り組んでいます。生活クラブの野菜は、化学合成農薬や化学肥料はできるだけ使いません。産地見学など組合員との交流も行っています。

生活クラブと提携する神奈川県の野菜生産者「平凡野菜」さんを紹介します!神奈川県横須賀市にて、平成25年に設立したレタス農場です。前編はこちら▼

平凡野菜 代表取締役 藤原さん

―― 2023年秋、生活クラブ神奈川で行った、神奈川の地場野菜をセットにして販売する取組みはいかがでしたか?
 単純に需要と供給だけじゃない、物流の過程もクリアしていかなきゃいけないので、今回はトライアルだったかもしれませんが、みなさんの手元に届いてくれたのはすごい良かったなと思っています。
 地産地消はどっちかというと直売のキーワードだったので、大きな流通の中でやるのは珍しく、運営能力がないとできないことだと思います。フェアトレードも、農家としては、原価がかかってるからある程度の価格で販売しないと食べていけない現状もあります。経営努力で効率を上げ、制度を使えばどうにかできる場合もありますが、一般的には難しいと思います。ただ、農家としても、甘んじて弱者なんだっていうだけじゃなく、生産の工夫は絶えずやっていった方がいいなという気持ちもあります。

――都市近郊で農業をしていてどのようなことを感じられていますか。
 三浦半島の農業って、全国的に見ても高収益ですごい儲かる農家さんがたくさんいる時代がありました。ですが、ここ10年三浦の名産品の野菜の値段がどんどん悪くなってきて、それで辞めるというより、継がせなかったり、空いた農地も積極的に借りる動きが少なくなったり、 三浦半島の農業が一時期に比べると、苦しくなっているなと。
  その中でどうやって三浦半島で農業を元気に維持していくかに関しては、市場や農協さんに大量出荷する時代が終わりつつあると感じます。農協さん自体も、結構四苦八苦してます。
 地元の大型直売所や、観光者に販売するチャンネルは充実してきていますが、大多数の三浦の特産品を作ってきた人たちが、近くで採れた野菜を地元で消費することを、具現化してるケースが少なく、どうしたらいいのかなっていうのはあります。

――三浦のこれからの農業についてはどのように思われますか?
 生活クラブ神奈川さんとの取組みが、1つのモデルケースになるのかなとは思ってます。横須賀市の農家さんが全部消費者にマッチングするのは難しいけれど、直売型以外で地産地消ができるモデルケースがそんなになかったので、いい動きだと思います。持続可能に繋がることを見せられ、野菜を扱う業者さんにも波及していったらすごいいいですね。捨てたもんじゃないぞというか、可能性は残ってるよということを、自分も続けながら、探りながら示していけたらなと。
 こういう取組みがあちこちに広がっていけば社会全体として良くなるし、三浦や横須賀の農地も持続可能になっていく価値があるので、ますはモデル的な取り組みを先進的にやらせてもらったことを、ありがたいなと思います。 

――三浦は農地が多い印象がありますね。
 三浦は野菜を作る生産能力はものすごくあるので、話を持ちかけてもらって、取組みをやってもらえたらいいなって。
 農家さんは儲からなくなると、作るものを変えたらいいのかなと考えるんです。人口も増えていかない時代で、消費も増えていくことは多分ないので、マッチングが1番課題かなと思います。
 レタス生産者に関してもごまんといますし逆に可能性が残っているなら、いいマッチングが生まれてほしいなと。
 食べたい野菜やこういう取組みをのニーズを、消費者の方からあげてもらえると、少しずつ販売する人の方に波及していくように思います。生産者は割とセールスが難しいというか、作ったけど、果たして誰に売ったらいいのか、どういう業者さんに言ったらいいのかは、青果業界の業者さんの数が限定的で、しかもあまりオープンでないため、難しい印象をおぼえます。神奈川の人が神奈川の野菜を求めてる気運ができると、スーパーのバイヤーさんも神奈川の野菜を入れてみようかと変わってくると思うので、食べる方からトレンドを作ってもらえたらなと思います。

――組合員は、藤原さんとこれからも提携しながら食べ続けていきたい思いがあります。
 畑を見ていただくのは、ものすごくいいかなと思いますね。「もっと頑張った方がいいんじゃない」なのか「こんなに大変なのか」って思ってもらうのかは、受け手によってそれぞれだと思いますが。それで、色々規格などの声をいただくことも結構あるので。規格は食べる側が決めてるわけじゃないので、別に気にしなくてもいいところに、時間を使っていたりもします。汚い葉っぱもついててもいいよって言われれば、ものすごい手間が省けますし、消費者が寛容できるレベルを知れれば、逆にその手間が減った分、値段を安くできるかもしれない、とか。野菜を使われる方の目線と、作る人がマッチすると、規格の作り直しができたりするので、話し合いの中で規格が決まっていくと、すごいなと思いますね。


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