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再会再度(『再会』『その後』の続き)
「お前またゴミ箱に小便したろ」
冬の寒い風呂場で兄はゴミ箱を洗っている。
「知らない」
僕は馬鹿みたいな嘘を吐いた。馬鹿だから。
「ばれる嘘なんて吐くな。つまんねぇ奴」
そうだ、僕はつまらない。未だにクラスで一人だけ九九が覚えられない。靴の左右は履き間違える。同級生には臭い臭いとどつかれる。
僕は本当につまらない人間らしい。
「布団にしなくなったのは進歩だけどよ。片付けんの俺なんだけど」
「知らな
殺し屋の女×情報屋の女
「おい、ここは病院じゃねぇぞ」
頑強な鎧戸の下半分を開けた状態でマンワイは言った。
外は大雨だ。訪問者の黒く見えるワークブーツも、その上のズボンもびしょ濡れだった。夜の闇に紛れる服装とは反対に白い腕から鮮血が滴っていた。
「そうだな、入れてくれ」
馴染みの者でなければ聞き取りにくい程の低い濁った声で訪問者は言った。
こいつは昔から話が通じない。マンワイは背中のグロックに手をかけた。
「平気だ。まい