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MMT理論を考える3 インフレ対策をどうするのか

MMT理論はプライマリーバランスに縛られない貨幣発行を行うことができるのでデフレ対策としてはめっぽう強い。一方でインフレの場合、特にその度合いが強い場合には相当な増税を行わねばならず、国民感情もかなり悪化すると思われる。そのたびに内閣が倒れる可能性があるので、自動的に税率を調節するシステムを構築しなければならない。

また、たとえばその税が消費税だった場合、高騰している商品価格にさらに上乗せとなるため、生活に与えるダメージが大きい。賃上げがそのペースに合わせて行われるのであれば良いが、たいていの場合は賃上げのペースは物価上昇のペースより遅く、またすべての会社が賃上げを行うとは限らないため、生活が成り立たない家庭も出てくるだろう。とくに輸入原材料の高騰などがインフレの原因(コストプッシュインフレ)の場合、まさに2023年後半の日本がそうであるが、この場合はむしろ資金供給を行う必要が出てくる。つまりデフレとおなじような政策をとることになる。

この場合資金供給をどこに行うのか。現在の日本は原材料の流通段階で補助金を投入するかたちで資金供給を行っているが、家庭に直接給付金を供給する方法も考えられる。これも2023年末に非課税世帯にやろうとしていることと同じである。

つまりMMT理論自体は政策の取り方を大きく変えるものではなさそうだ。ただし取りうる政策の規模を大きいものにすることができる。たとえばMMTをベースとした政策案の中にベーシックインカムがよく登場するらしい。このことについても今後考察していきたい。


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