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少子化問題をも消費増税の手段にする財務省


2022年に産まれた子供の数は77万人だそうで、それは戦後の約3分の1で過去最低だそうだ。この勢いだと人口は50年度には3分の2になってしまうらしい。
これに対し、内閣の下部組織である内閣官房が主導する「こども未来戦略会議」は少子化対策の提言をまとめた「こども未来戦略方針」を今年2023年6月に発表した。詳しくは下記リンクを参照されたい。

こども未来戦略方針(PDF) 内閣官房Webサイトより

内容としては若年層の所得増加、手当の拡充などで、子育て世代でもある私からすると「ちょっと違うんだよなあ」と思うところもあるが、とにかく少子化対策の提言をしている。また財源は増税を伴わない、とし「そのための消費税などの増税は行わない」と消費税を名指ししてその増税を否定している。

これに反発したのだろうか、財務省の下部組織である財務総研が4か月後の今年2023年10月に日本総研に作成させた「なぜ少子化は止められないか」という資料を公表している。「課題設定に誤りはないか」というなかなか挑戦的な副題までつけている。

なぜ少子化は止められないのか(PDF)財務総研Webサイトより

内容を読むと、少子化の原因は一般的に言われている婚姻の減少が原因ではないとし、女性の意識の変化もあるが、男性の所得の減少など経済の問題が最大の要因と断じているのだが、その具体的対策はほとんど述べられておらず、研究者不足の話が入ってみたり、育児分担の話になったりなど方向性がよく見えない。
そして終盤に突然、財源の話になり「最終的には、タイミングを見て消費増税と相続税」と謳っているのである。しかも消費増税の部分は赤字で協調してある。
まとめのページで多少補足的に雇用対策に触れているが、記述としては簡素と言える。
いずれにせよ、増税への強い意欲があふれ出た資料という印象であり、それだけでも面白いが、世間が言うほど岸田政権と財務省は親密ではなく、それどころかむしろ対立していることが分かる点でも大変興味深い。

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