見出し画像

”学び”とは何か?【教科書と実践の違い】

日本人の平均勉強時間が平均6分だと言われる最近の情勢の中で、理学療法士・作業療法士として働いている人は、一般よりも勉強している部類に入ると思います。

ぼく自身も臨床に出たての頃は教科書や論文を読んで勉強していました。そ中で気がついたことがあります。

それが、”勉強”と”学び”は違うということです。

理学療法士で言えば、患者さんの持っている愁訴を改善させたい・よくなってもらいたいという思った時に教科書を開いたり文献を検索することが一般的でしょう。ぼくの考える勉強とは、このように教科書や論文を開くことです。

経験的に、勉強はリスク管理の意味では絶対的に必要なものであり、治療効果という意味でも一定の効果をもたらすとは思います。しかし、理学療法士としてよりステップを高めていくためには、”学び”を実践していくことが必要です。

至極一般的なことだとは思いますが、勉強と学びが混同している場合が多いと思うので、ぼくなりの考えをまとめていきます。

♦︎”学び”とは差分

学びとは何かを考える上で、非常に参考になる書籍があります👇

この書籍を読んで、とても印象的だったのは

学び本質は、差分にある

荒木著 独学の地図

著者の荒木氏はビジネスの世界に身を置いている方なのですが、この書籍は理学療法士が読んでもとても参考になることがたくさんあります。

そして、ぼく自身がこれまでやっていたことをかなりの解像度でまとめ上げられています。もっと成長したいんだけど、なかなか上手くいかないと悩んでいる人にとって、教科書や論文から一旦離れて、この独学の地図を読んでみるのはとても有意義な時間になるはずです。

では、”差分”とは何なのでしょうか。

本書の一節を少しお借りすると、何かの前後の変化であるということです。そしてその変化は自分自身で得たことであり、もともと知られている一般的な知見や常識を知って「やっぱりこれが大事だ」となってもそれは差分ではないとも言われています。

理学療法士において、この”差分”をどうやって生み出していくのか、次から見ていきます。

♦︎教科書で得る差分と実践で得る差分

理学療法士の学びの手段は大きく分けて2つあると思っていて、それが教科書や論文からの学び、もう一つが臨床自体から得る学びです。それぞれどんなものがあるのかを整理します。

教科書から得る差分とは

教科書や論文などからも差分は得られると思います。具体的には、確立された学問的な話し、事実ベースの話、リスク管理的な話が挙げられるでしょう。

理学療法士として臨床にたつ上で知っておくべき知識的なものはここから得られます。整形であれば組織の治癒過程や合併症などの理解は、介入を進める時の重要なチェックポイントを見逃すことが防いでくれます。

また、カンファレンスなどで医師か看護師との情報共有時にも共通言語としての知識も重要になるでしょう。このように教科書や論文から、基本として重要な知識を提供してくれます。

ここから得る差分とは、ネガティブな事象が発生する可能性を下がったという変化であり、算数で言えば、引き算の引く数を減らしたということです。引き算なので、引かれる側の数を超えるものは引けないので、ある程度で頭打ちになります。

実践から得る差分とは

一方で実践から得る差分とは何でしょう。ここでいう実践とは臨床での介入のことです。実際の介入の中での経験や体験、これは上手くいったことも上手くいかなかったこともどちらも入ります。

そこ経験が初めてであれば、全てが差分になります。これはエビデンスがあるなしに関係ありません。

エビデンスがあったものであれば、「やっぱりこうなるんだな」として臨床で使える知識に昇華することになるし、全くエビデンスがないようなことでも、自分しか知らない新しい発見としての情報が蓄積されていきます。

算数でいえば、こちらは足し算です。1年前の自分、昨日の自分、1人の患者さんの介入を終えた後の自分、スパンはどうあれ過去の自分に新しい知見が足し算されていくイメージです。これは引き算と違って上限がないことがわかります。

♦︎実践で得る差分の方を意識しよう

ここまで、2つ学び(教科書か実践か)を比較してきました。自己成長の過程としてどう学びを実勢していけばいいかというと、ある程度のリスク管理や医療従事者としてのコミュニケーションが図れるようになったら、実践からの学びに大きく比重を置くことが重要だと考えています。

誤解のないようにすると、教科書や論文からの学びが不要とは言っていません。あくまでも、どちらに比重を置くかということです。

なぜ、ぼく自身が実践からの学びに比重を置くのかというと、足し算的に成長の上限なないということ、そして、患者さんから生のフィードバックを得ることができることです。

自分の勉強をあまりにも教科書や論文に頼りすぎると、伸び悩みが出てきます。なぜなら、引き算的な学びなので、引かれる数より増やせないから当然と言えば当然です。

逆に足し算的な学びを繰り返していけば、上限はありませんし、フィードバックを活かして次に繋げることができれば、そこからさらなる学びを得ることができます。


今回は、ここまで。
最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?