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「腰椎分離症に対する理学所見」#書く習慣142

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
今日は腰椎分離症の患者さんに対して行う理学所見についてまとめていきたいと思います。

腰椎分離症とは

・発育期腰椎分離症は、スポーツを活発に行う青少年にみられる腰椎椎間関節突起部間部(Pars)の疲労骨折である(*2)


発生機序

・西良らにより、腰椎の伸展、回旋運動の応力がParsにかかることで発症するとされている(*2)


発生頻度

・成長期腰椎分離症は全疲労骨折の48.9%~ 64.1%とされ,成長期スポーツ障害の中でも発生頻度が高い(*1)

成長期腰椎分離症の発生頻度は腰痛患者の 33.2%、35%とされ,腰痛患者の中でも発生頻度は高い(*1)

・学年別の腰痛患 者における分離患者の割合は 31.3%~75% で あった.腰痛患者における分離患者の割合は小学生で 42.3%,中学生で 49.6%,高校生で 38.5% で あった(*1)

・中学生と高校生において分離患者の割合は男性が女性と比較して有意に多かった(*1)

・成長期腰椎分離症は成長期スポーツ障害の中で も発生頻度が高く,腰痛患者の中でも腰椎分離症 の割合は高いとされている(*1)

・成長期腰痛は中学 1 年生から高校 2 年生までに多く,成長期腰椎分離症は中学生年代が発症のピー クであった(*1)

・腰痛発症件数は少ないが,腰痛患者のうち分離症である可能性はどの年代も約 50% 程度であり,注意が必要である(*1)

画像診断

・腰椎分離症は、従来X線画像斜位像にてスコッチテリアの首輪像の有無を確認することが診断のスタンダードであった(*2)

・X線で分離が確認できる段階ではすでに偽関節となっていることが多く、近年においてはX線より早期に発見が可能なMRI、CTによる画像診断が主流となってきている(*2)

・CTでは分離状態により、初期、進行期、終末期に分類することができるが、初期および進行期のMRI高信号変化が認められるものでは骨癒合が期待できる(*2)

・X線にて分離が確認できるのは終末期であり、骨癒合が期待できない(*2)


理学所見

・棘突起の限局性圧痛
・腰椎の伸展時痛
・Kemp肢位による疼痛出現

・発育期のスポーツ選手で棘突起のpin point tendernessと伸展時痛の2点が陽性であれば、50%に近い確率で腰椎分離症であるとの報告がある(*2)


治療

腰椎分離症の治療は分離部の疼痛、下肢の神経根症状が著明なものに対して除圧術・固定術などの手術療法を行う場合もあるが、分離症の病態によっては保存療法に骨癒合が期待できるとされている(*2)

・初期の腰椎分離症は適切な治療が行われれば、癒合率は94%であるとの報告がある(*2)



参考文献

*1:成長期腰痛患者における腰椎分離症患者の特徴


*2:発育期腰椎分離症における文献的考察