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マレーシアで「Tempura / 天ぷら」と向き合い「おまかせ」について考えてみた。


「Omakase」は「「おまかせ」より更に委ねること」なのだ。


私のMy Favorite in KLなお店と言えば「Sushi Hibiki」。 こちらのお寿司はガチ最高である。こちらのコースは「Omakase」のみ。「Omakase」ではお寿司の前に様々な美味しい料理が出てくる。まさに至高の時間である。
そして今回。この「Hibiki」で「天ぷら」を行う「Tempra Hibiki」が開催されると伺い、スキップしながら訪問させて頂いた。


そもそもKL在住の日本人以外のお客様にとって「Tempura / 天ぷら」はどのような存在なのだろう?シェフの慎さんに伺うと

「「想像できない」って人が多いですね」

とのこと。そう、確かにマレーシアに住む日本人以外の方で「Tempura / 天ぷら」を知らない人は少なくない。そして知らない人が「天ぷらとはどんな料理か想像する」のも難しそうだ。そもそも「Tempura / 天ぷら」が日本語でないというのも知らない人が多い。(Tempuraとはポルトガル語との説が有力である)。


知らない料理を食すことは勇気が必要だ。

自分を振り返る。自分はどんな時に「Tempura / 天ぷら」を食べに行ったか。カジュアルな天丼とかは別。振り返ると、「Tempura / 天ぷら」のコースを食べた時は

「会話を少なくしたい時」

接待等で会話どうしよう、と思ったときに「Tempura / 天ぷら」のコースを選択した記憶が蘇る。そう、会話がなくても、天ぷらだとあの「揚げる音」がある。揚げる音が会話の代わりに食欲を盛り上げるのだ。


そして日本食といえば日本酒を忘れてはならない。Sushi Hibikiでは様々な日本酒を楽しめるのだけど、お寿司と天ぷらではあうお酒は違うのだろうか。シェフの慎さん曰く「「Tempura / 天ぷら」には口当たりの軽いお酒があいます。シャンパンとかもおすすめです」とのこと。「Tempura / 天ぷら」とシャンパン。素敵な融合の予感。


ちなみに今回はお店の構造上、カウンター内で天ぷらを揚げることは出来ない。なので私達は天ぷらを待つ際、目の前に料理のない「無の時間」がある。この「無の時間」がとても興味深かった。マレーシアで私が感じること、それは「皆、会話が好き」ということだ。天ぷらが揚がるのを待つ際、遠くで音を聴きながら、カウンターでは様々な会話が盛り上がった。「会話だけを純粋に楽しむ」のだ。これはとても興味深かった。


スタッフさんに「かき揚げってなんで「Kakiage」って言うか知ってる?それは「かき混ぜて揚げるからなんだよ!」等の会話で盛り上がる。昭和感が漂う。



今回は「Tempra / 天ぷら」は7種。そして最中に前菜、お椀、お刺身が入り、〆にかき揚げの天茶漬け、そしてデザートであった。

ここで1つ疑問。「Tempura / 天ぷら」の「Omakase」は懐石料理とどう違うのだろうか。
懐石料理とは本来は「茶懐石」と呼ばれ基本的に茶道を楽しんだ後に客人に出す料理である。料理を楽しんだ後、濃茶(こいちゃ)と呼ばれるお茶が振る舞われる。

「詫び・寂び」という茶道の思想を表現するため、「旬の食材を用いる」「素材の味を生かす」「客をもてなす」という3つのテーマで料理が振る舞われる。


ちなみに日本料理における「おまかせ」は料理人が客をもてなすことを全面に出したスタイルと言われいる。懐石は季節が、おまかせは料理人が料理を決めるし主導権を持っているという感じだろうか。


もてなされる側は料理を待つ。そして目の前の料理を五感を存分に使って楽しむ。もてなされる側は出される料理に身を委ねるである。


外国で食する日本料理は「Omakase」と記される。食材の入手状況、シェフの環境は日本と明らかに違い、制約も多い。「Omakase」は「おまかせ」より更に料理人の手腕に委ねられるのだ。


では、今回味わった料理をいくつかピックアップして個別に語ってみたい。順不同になってしまうがここは私に「おまかせ」してほしい。


まず野菜中心の前菜から。マレーシアの方は野菜を食することをあまり好まない。シンガポールに4年住んでいた私は「マレーシアの野菜美味しいのにもったいない!」と思う。でも息子の友人などは話を聞く限りでは本当に野菜を食べない。管理や調理方法なども影響するのだろうけど、野菜はおいしく食べれるということをもっと知ってほしい。


刺身は今回は準主役であるが、素敵なポジショニングをとっている。今回の「Tempra / 天ぷら」ナイトでは「刺身にストーリーがある」のがとても楽しかった。カツオを辛子で頂くと郷愁を感じたし、冷凍じゃない牡丹海老を頂いた際は「遠路遥々ありがとうございました!」と思わず声かけたくなった。


そしてメインの「Tempura / 天ぷら」。数多く頂いたがあまりに美味しく写真を取り損ねたものもあったのでいくつか抜粋。
衣のサクサク感が素材を生かす。お塩は4種もあった。個人的には天つゆのいい香りに悶絶しそうになった。コースで頂く天ぷらは自分の世界にあった天ぷらと明らかに違う。様々なスタイルを楽しみながら「Tempura / 天ぷら」は野菜を美味しく食べる最良の方法の1つだなと再認識。素材を活かした風味と他では味わえない食感。特に「牡蠣」と「雲丹」は天麩羅ならではのジューシーさと歯応えを味わえる。
このようなコースでは基本的に何が出てくるかはその時の品揃えによる。まさに一期一会である。


おまかせの最中の汁物とは別に最後のご飯は天茶漬け。稀代の食通・北大路魯山人が愛した料理として有名である。


天ぷらにお茶というのは油分が融合されて新たな世界を呼び出す。独特の食感と喉越しはOmakase最後のご飯ものとしてふさわしい。


東南アジアでは「高級日本料理=寿司」というイメージが強い。確かに、Sushi Hibikiの寿司は一度味わったら忘れられない。ただ、日本人として声を大にして言いたいのは「日本料理は寿司だけじゃない!」ということだ。特に野菜や魚介を美味しく食べる方法の1つとして「Tempura / 天ぷら」というジャンルがあることをぜひ知ってほしい。


本当の「Tempura / 天ぷら」のおまかせは食後感も気持ち良い。揚げる音を脳内で反芻しながら夜風を楽しんで帰ろう。
「Tempura / 天ぷら」は不定期で行われる。次回の開催日の情報を受け取ったらぜひチェックしてほしい。