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「ストレスなさそうで良いね」

「いいよねぇ〜、ストレス無さそうで」
こんなにストレスをかけてくる言葉はない。

ストレスを感じる発言をされても
「もしかしたら相手が本当に言いたいことは違ったのかも」
「今朝嫌なことがあっただけなのかもしれない」
「この人の言うことはスルーしておこう」
こうやって幾つかの選択肢を思い浮かべながら怒りをコントロールしてる人がいることを知らない人がいるということにたまにゾッとする。

〈ストレスを感じる=怒る〉この一択しかない人は〈怒らない=ストレスがない〉という方程式が成り立ってしまうのだろう。

こういう人とは関わらないのが一番だということは理解しているが職場の上司など、もし離れられない環境にいるときはどうすれば良いのだろうか。

「嫌なことがあっても怒らずにコントロールしている人間がいるんです!誰もがあんたみたいに嫌なことあったらすぐ怒れば良いと思ってるなんて思わないでください!」
ストレートでいい案かもしれないが誰かにこんなふうに言いたくないし、
「怒る勇気がないからって私のこと悪く言わないで!」とか妙なこと言われそうだ。
僕の怒りもヒートアップし「おひとつどうぞ。」というメモと一緒にデスクの上に置かれてるクッキーを粉々にして「バカは外!」と節分よろしく上司に投げつけてしまうかもしれない。

もっと優しい策を考えよう。
「いえいえ、ストレスありますよ。そちらこそお盛んでいいですね」というのはどうだろう。

「いつも怒っていて賑やかですね」はあまりにも皮肉すぎるけど”お盛ん”というどこにも着地しない言葉を使うことで、その場では相手も理解が及ばず妙な顔で引き下がるが、家に帰って夕食を終え、SNSを見ながらゴロゴロしてからそろそろお風呂入るか、と脱衣所で服を脱ぐくらいのタイミングで

「そういえば”お盛ん”って何?」と思い出してくれるかもしれない。

鏡に映ったお腹がまた少し膨れたような気がするのと相まって、少なくともマイナスのニュアンスを孕んだ言葉であったかもしれないということに気づき、湯船に浸かっている間は悶々と言葉の意味を探るだろう。

「もしかしてお菓子の食べ過ぎってこと?確かに毎週のようにお菓子を買ってきてはみんなに一つずつ配ったあとは全部自分で食べてるし。ストレスかかると食べすぎちゃうって聞いたことある。もう少しストレスをコントロールした方がいいってことかな。今度ストレスマネジメントについて聞いてみよっ。」

といい具合に遠回りしながらも思い通りの着地をしてほしい。今度から「ストレスなさそうでいいね」と言われたら「そちらこそお盛んでいいですね」と返そう。

こうやってまた理不尽な怒りを妄想によって処理していく。
クッキーまみれにならなくてよかったな!感謝しろ!

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