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1週間で「檀家って何?」と3人に聞かれた話

自分の仕事を説明したら・・・

業界の方から「何の仕事をしているの?」と聞かれると「寺檀関係を深める支援をしてます」とお答えするようにしている。

お寺と一般の方の間に立って、供養にまつわるいろんな黒子的な仕事をしすぎて自分がなにをしているのか?一言で言えないので端的に言うにはこれくらいしか思いつかない。

ただここ1年、SaaS型でお寺と檀信徒の関係向上サービス「クラウド管理寺務台帳」をせっせとお寺の中で創っているので知見を深めるためにSaaSを開発しているベンチャー企業の方やIT系の方、異業種の経営者にお会いする機会が増えた。

そのたびに一言でいうとどんなシステムなの?と経営者界隈によくある「端的にわかりやすく、ピッチプレゼンせよ」という圧を感じる時がままある。笑

私は新卒でITベンチャーに入社したので、1分で自分のやっていることをわかりやすく伝える訓練を21歳の時からさせてもらってきた。(新卒向け社内ページに「自分の会社とサービスを1分で自分の言葉でプレゼンできるように。」と記載があった)

ただ、なにごともわかりやすく、解説できるものはだいたい本質がそんなに深くないかわかりやすさを追求したがために誤解を招く場合が多いと考える私は非常にこの瞬間が苦手。

それでもそんな気持ちを押して「お寺さんのためのCRMですよ」とこれまた「本当は顧客管理じゃなくて寺院のコミュニティ向上補助ツールなのになぁ」と思いつつ答える。

そうすると、「檀家ってなに?」と聞かれることが非常に多い。

供養業界にいるとまず聞かれない質問だけど、民間のしかもイマドキな方々と話すと、稀な質問ではなく1週間で3人の人から全く同じ質問が開口一番にあった。

つまり、サービスの質問以前にお寺を取り巻く文化の説明が必要な状態が珍しくない。

みなさん30~50代で田舎もあるので「都会で生まれ育った人は檀家制度の馴染みがない説」もあてはまらない。

確実に、「檀家」「信徒」「回忌法要」といった供養文化のあたりまえのキーワードは彼らの日常には存在しない。

視点の逆転「檀家とお寺」

こういった質問をいただくと私は「なるほど、面白いな」と思いつつ、檀家とお寺の関係を説明するとみなさん「へー!そんな仕組みがあるの。それは、なりたいって言えばなれるの?」と異口同音にこれまた面白い反応が返ってくる。

筆者がここ10年間、葬儀・お墓・法要におひとりさま相談などあらゆる弔いに関する相談をうける中、葬儀や納骨場所に関する相談では8割以上は条件に「檀家になりたくない」がつく。

これは多くの場合、50・60代以上の方が相談者なので前提として「檀家=お寺に属するもの(寄付や義務が発生する煩わしいもの)」という知識と偏見がある。

しかし、前段で書いた彼らは本当にお寺の文化に馴染みがない。

むしろポジティブな反応が返ってくる。

その中には

「お寺の文化を支えるパトロンになれるんでしょう?めっちゃいいじゃん。どうやってなれるの?紹介してくれる?」

「池邊さんのシステム使ってるお寺めっちゃ良いお寺じゃん。そうやって家族の歴史残してくれるならお金いくらでも払うよ」

など進んでお寺に関わったり、お金を払いたい。といった声もある。

「なんかもう何にすがっていいかわかんない時に神社とかお寺には行くもん。でもさ、お坊さんどこにいるかよくわかんないし、いきなり「寄付したいんですけど」って言えないよ。でもなにか関わりたいとはおもう。」

「自分は昔から墓参りもするし歴史も好きだけどなかなか子供といくことはないから、都会にも子供と行きやすいお寺があるなら紹介してほしい」

視点が変わるといま供養業界で言われている「供養界隈は衰退している」といった風景はなく、むしろお寺と関わりを望む姿がある。

関わり方に関しては一計を案じる必用があるし、本筋からずれるのでいったん置いておくとして、昨今、マインドフルネスやSDGsにオンラインサービスといった新たな動きや樹木葬や宿坊といった既存の取組みを寺院周りのコンサル会社や業者がそういったものとお寺をくっつけて商売にしようとする動きも見られる。

ただ、わざわざ新しいことを無理にしなくても、寺院がこれまで培ってきた文化や歴史の中で、地域の中にヒントはたくさんある。

その中から求められているもので、次世代にちゃんと価値として続いていくことが生み出せればそのお寺の未来の姿も変わってくるはず。

そんな確信をもって、今日もせっせとお寺と檀信徒、地域にとって価値ある仕組みや取り組みを積み重ねていきたい。





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